国連の国際海事機関(IMO)は4月11日、ロンドンで開かれた海洋環境保護委員会で、「2050年頃までに国際海運の温室効果ガス(GHG)排出ゼロ」とする目標(2023年に採択)の達成に向けて、ゼロエミッション燃料船の導入を促す海洋汚染防止(マルポーロ)条約の改正案に合意した。改正案は25年10月に開かれる同委員会の臨時会合で採択の審議が行われ、27年3月にも発効、28年の適用開始を目指す。
今回合意したのは、日本と欧州が共同提案した、
@船舶の使用燃料を段階的にGHG排出量(CO2等)の少ない代替燃料に転換する制度、
Aゼロエミ船の導入に経済的インセンティブを与える制度――の二つ。@は総トン数5000t以上の外航船を対象に、エネルギー当たりのCO2等排出量を段階的に規制強化していく制度。基準を達成できない船舶は、超過排出量に応じた負担金を、今後新設予定の「ネットゼロ基金」に支払うこと、またゼロエミ船等の規制を大幅に達成する他船との相殺を認める。Aでは、コスト増分についてネットゼロ基金から報償金を支払う仕組みを構築する。同基金を使って、後発途上国や島しょ国の船舶燃料転換への支援も行う予定だ。
ゼロエミ船の燃料としては、水素、アンモニア、合成メタノール、e-メタン、バイオディーゼル等を想定している。
|