週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2810.02.13




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…調達価格等算定委、25年度以降のFIT・FIP価格案を取りまとめ

屋根置PV買取価格を引き上げ、早期投資回収にシフト



 経済産業省は2月3日、2025年度以降のFIT・FIP制度の買取価格・基準価格案の意見公募を開始した。目玉となるのが、ここ数年の太陽光発電(PV)の停滞を打破するための事業用屋根置きPVと住宅用PVの新スキームだ。FIT・FIPの買取・基準価格を初期期間は増額して、投資回収を短縮化する。 ■事業用屋根置き導入テコ入れで12円と11.5円  資源エネルギー庁は1月31日、調達価格等算定委員会(委員長;秋元圭吾・RITEシステム研究グループリーダー)を開き、25年度以降の再生可能エネルギーにかかわるFIT買取価格案、FIP基準価格案をまとめた。まとめでは、事業用と住宅用屋根置きPV普及を加速させるため投資回収期間を早める新たな支援スキーム、再エネ自立化への道筋と発電コスト目標などを提示した。
 事業用屋根置きPVは23年10月に新設された区分。工場や物流倉庫などへの導入を促進させるためのテコ入れとして、24年度は1kWh当たり12円、25年度11.5円と平地に設置する事業用PVより高い価格を設定した。住宅用屋根置きについては24年度16円、25年度15円となっている。
 事業用屋根置きは平地に設置するPVと比べると、設置場所が倉庫や工場などにほぼ限定されるため紛争が少なく、加えて送電系統網設備が比較的整っていて、系統負荷に与える影響も少ない。他のPVよりも電力システムに受け入れるコスト(統合コスト)が小さいというメリットがある。
 ただ、屋根置きPVを導入する主体には個人や中小事業者が多く、財務体力が弱いこともあって投資回収年数の長さが障壁となっている。近年は金融機関の融資基準が厳しくなり、10年以上の投資回収事業計画になると融資を受けにくくなっていた。そこで算定委は、今回の事業用屋根置きPVに関するFIT・FIPの買取・基準価格などを見直して、投資回収を早期化する方針を固めたもの。





(以下については本誌2810をご参照ください)



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…2025年度予算案決定。35年に00年比CO2等60%以上削減、再エネ使用電力60%以上へ

東京都、PV等設置義務化に予算措置・水素拠点化も



 東京都の小池百合子知事は1月31日、「2050東京戦略」と「2025年度東京都予算案」を公表した。2050東京戦略では、2035年のCO2等削減目標を新たに設定した。2050年までに温室効果ガスのゼロエミッション達成に向けて、2000年比「60%以上削減」(30年に50%削減)とする目標を掲げた。
 25年度予算案では過去最大規模の9兆1580億円(24年度当初比8.3%増)を編成。うち3011億円を環境・エネルギー、次世代脱炭素技術等の実装化に充てる。
■バックキャスト方式でCO2排出60%超削減  「2050東京戦略」は、あるべき東京の将来像を描いた上で、バックキャスト方式により35年に向けた施策を示した。ゼロエミの実現に向けた施策の柱には、▽太陽光発電(PV)等再エネ実装化と省エネ強化、エネ安定供給確保、▽グリーン水素社会実装の加速、▽気候変動影響を最小限化に抑えるあらゆる分野での適応策推進――の3点を掲げた。これら実現に向けて都は35年度目標を新設。CO2排出削減のほか、エネ消費量50%以上削減(30年目標50%)、再エネ使用電力60%以上(30年50%程度)と、従来目標値を一部強化した。
 都内CO2等排出量の7割は、建物関連からの排出による。都は22年12月に「環境確保条例」を改正し、▽マンション等大規模建物の新築時にPV等とEV向け充電装置の設置および省エネ・断熱化を義務づける「建築物環境計画書制度」(対象は延床面積2000m2以上)、▽大手ハウスメーカー(年間都内供給床面積が合計2万m2以上)に対し同様の義務付けした「建築物環境報告書制度」――を25年4月から施行する。これに関連して25年度予算案では、省エネ・断熱施策強化に向けた支援の拡充、再エネの導入拡大、水素エネ利活用の拠点整備、GX投資の活性化などを具体化した(下記)。
  @省エネ・断熱施策強化1936億(前年度1315億)、A再エネの基幹エネルギー化230億(154億)、B水素エネの社会実装181億(177億)、Cゼロエミモビリティの普及拡大367億(124億)、Dグリーン製品市場創設等新たな仕組みづくりとGX投資の活性化222億(50億)
■新築住宅ゼロエミ化支援に321億、既築改修も
 上記@では、ゼロエミ住宅推進総合対策事業321億円を新規計上。大手住宅メーカー供給の新築住宅へのPV設置や断熱性能等を義務化。1.6万戸を対象に省エネ達成率に応じて3段階の助成を行う(45%以上=240万円、40%以上=160万、30%以上=40万。総額294億円)。併せて中小ハウスメーカーや地域工務店に対しても支援する(同24億)。
 また、既築賃貸住宅の省エネ改修やPV設置を支援する「賃貸住宅の断熱・集中促進事業」に199億円を新規計上。省エネ診断や省エネ改修など、3ヵ年で15万戸分の集中支援を行う。継続事業予算では、既築住宅等の省エネ改修やPV設置支援を行う「断熱・PV住宅普及拡大事業」に702億円(24年度696億円)を計上して引き続きの支援を行うほか、一般家庭を対象に高効率省エネ家電の買い替え費用を支援する「ゼロエミ行動推進事業」を221億円(100億)に倍増し、省エネ対策を促進させる。
 さらに、データセンター等の電力需要増への対応として38億円(14億)を計上。都外に新設する大規模再エネ電源を高圧系統に接続して都内事業所で利活用する事業等を支援する。







(以下については本誌2810をご参照ください)


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