週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2850.12.04




第1レポート次の記事

…核融合のスタートアップ企業支援に国庫負担を含め600億、住宅断熱化1125億円

経産省、環境省補正予算案、物価対策・GX充実・クマ対策



 政府は11月28日の臨時閣議で、新型コロナウイルス禍以降最大となる一般会計歳出18兆3034億円の2025年度補正予算案を決定した。物価高対策や成長投資など総合経済対策の財源とする。歳入は国債の追加発行が11兆6960億円とおよそ6割を占めた。今臨時国会に提出し、年内の成立を目指す。

経産省等:GX関連エネ供給網・核融合重点
 経済産業省の補正予算案は約2兆7000億円、国庫債務負担行為の複数年度分を含めた規模は約3兆1000億円となった。工業用水道の強靱化、データセンター(DC)の地方拠点整備、中小企業支援などに取り組む。経済成長と脱炭素の両立を促すGXの取り組みとして、浮体式洋上風力発電設備の製造事業者支援などを進める(右記)。
 分野別の計上額のうち、生活の安全保障・物価高対応が1兆3570億。危機管理投資・成長投資による強い経済の実現に1兆1634億円を充てる。
 浮体式洋上風力などのGXサプライチェーン構築支援事業には55億を計上し、債務負担行為を含めて845億円を確保する。同事業では中小企業を含めた日本企業に高い産業競争力を期待、GX分野の国内製造サプライチェーンを確立するため、水電解装置、ペロブスカイト太陽電池、燃料電池なども対象に、関連部素材や工場立地を補助する。
 また工場の省エネ設備更新を支援する省エネ投資促進支援事業費補助金は国の債務負担を含めて175億円を要求。CO2回収・貯留のCCS事業支援は339億円を計上した。さらに、ペロブスカイト太陽電池の認証設備強化事業に11億円を充て、認証試験に必要な設備や施設の整備を支援する。製品や製造工程を適切に評価するため、国際標準の策定と国内第三者認証の仕組みを確立させる。
 高市首相が打ち出した核融合発電関連事業についても手厚い予算を充てた。経産省のフュージョンエネルギー発電実証推進事業(200億、国庫債務負担を含め600億円)は30年代の実証を目指し、スタートアップ等における様々な炉型による研究開発を支援する。文部科学省もフュージョンエネルギーの実現に向けた研究開発の推進事業として95億円を計上した。うちITER計画の主要機器製作加速などに56億、ITER計画を補完・支援するBA(幅広いアプローチ)活動支援及びJT-60SAの機器整備に39億円。
 他に内閣府の「30年代の発電実証を目指すフュージョンエネルギー研究開発・基盤整備の加速」で、326億円を計上した。


(以下については本誌2850をご参照ください)



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…関西電力とJSE、丸紅が豪州で新たな展開。政府支援と供給先確保

日本企業の撤退から一転、豪州水素事業に再挑戦相次ぐ


 最近になって、一旦我が国企業が撤退を決めた豪州の水素プロジェクトが再び注目されつつある。今年3月までに決めた撤退の理由には、水素価格が実用には高すぎることや、水素の需要先がバッテリーの価格低下による電気へのシフトなどの市場規模の縮小があった。さらに政府支援の停止が追い打ちをかけたことで、日本企業が豪州の水素プロジェクトから撤退する事例が続いた。
 一体、どういう変化が起こっているのだろうか。

丸紅、川重など豪州水素市場へ相次ぐ再挑戦
 丸紅は11月25日、南豪州で進めていた安価な再エネを活用したグリーン水素製造、及び水素吸蔵合金を使ったインドネシアへの輸送、燃料電池での水素利活用までを含めた製造〜輸送〜利用チェーンの実証事業を完了したと発表した。
 同実証は、環境省の「令和3年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(二国間クレジット制度資金支援事業)水素製造・利活用第三国連携事業」として、22年1月から実施されてきた。実証によって、水素輸送手段としての水素吸蔵合金の有用性、および製造→供給までのサプライチェーン構築の実現が可能になったという。
 注目すべきはここからだ。同社は今後、水素製造設備(写真)を撤去するのではなく、引き続き活用してグリーン水素を製造、豪州国内で利活用する取り組みを進めていくという。
 つまり豪州での水素供給事業を継続する方針を示したもので、既に同設備に隣接する天然ガス火力発電所のオーナーである豪イベルドローラとの間で、水素売買契約を締結した。9月には豪州初の混焼試験にも成功。今後は余剰再エネ電力で製造する安価な水素をガスタービンの混焼燃料として供給するとともに、水素製造のために導入した蓄電池の運用を通じて、系統電力の調整機能も果たしていくという。豪州国内での需要先を確保したうえで、新たなニーズの確保も進めていくというわけだ。  




(以下については本誌2850をご参照ください)


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