経済産業省は2月3日、2025年度以降のFIT・FIP制度の買取価格・基準価格案の意見公募を開始した。目玉となるのが、ここ数年の太陽光発電(PV)の停滞を打破するための事業用屋根置きPVと住宅用PVの新スキームだ。FIT・FIPの買取・基準価格を初期期間は増額して、投資回収を短縮化する。
■事業用屋根置き導入テコ入れで12円と11.5円
資源エネルギー庁は1月31日、調達価格等算定委員会(委員長;秋元圭吾・RITEシステム研究グループリーダー)を開き、25年度以降の再生可能エネルギーにかかわるFIT買取価格案、FIP基準価格案をまとめた。まとめでは、事業用と住宅用屋根置きPV普及を加速させるため投資回収期間を早める新たな支援スキーム、再エネ自立化への道筋と発電コスト目標などを提示した。
事業用屋根置きPVは23年10月に新設された区分。工場や物流倉庫などへの導入を促進させるためのテコ入れとして、24年度は1kWh当たり12円、25年度11.5円と平地に設置する事業用PVより高い価格を設定した。住宅用屋根置きについては24年度16円、25年度15円となっている。
事業用屋根置きは平地に設置するPVと比べると、設置場所が倉庫や工場などにほぼ限定されるため紛争が少なく、加えて送電系統網設備が比較的整っていて、系統負荷に与える影響も少ない。他のPVよりも電力システムに受け入れるコスト(統合コスト)が小さいというメリットがある。
ただ、屋根置きPVを導入する主体には個人や中小事業者が多く、財務体力が弱いこともあって投資回収年数の長さが障壁となっている。近年は金融機関の融資基準が厳しくなり、10年以上の投資回収事業計画になると融資を受けにくくなっていた。そこで算定委は、今回の事業用屋根置きPVに関するFIT・FIPの買取・基準価格などを見直して、投資回収を早期化する方針を固めたもの。
(以下については本誌2810をご参照ください)
|