アジアのLNG需要は経済成長を続ける中国およびインドに加え、タイなど天然ガスを新たに導入拡大している国も登場して、拡大テンポが大きくなりつつある。ただ、アジア地域の需要増加に域内で対応できる新規プロジェクトは現状2件しかない。2月28日に突発した米国・イスラエルによるイラン攻撃で緊迫する中東地域のエネルギー情勢急変に際して、直近のアジア、アフリカ、そして米国のLNGプロジェクト動向を見てみた。(次頁に一覧)
アジア新規2案件、金融支援に障害あり
アジアでの新規案件のうち、INPEXがインドネシアで開発を進めているアバディLNGプロジェクトは、20日に同国政府から環境承認を取得したと発表した(2861既報)。同プロジェクトは昨年8月、仏テクニップ/日揮グローバルおよびインド伊サイペム/現地会社に基本設計(FEED)業務を発注、推進中だ。
当初、同プロジェクトは洋上開発として計画されていたが、インドネシア政府が地域貢献の最大化を理由に陸上プロジェクトへの変更要請があって、スケジュールが大きく遅れていた。漸く基本設計段階にまで至り、環境認証を取得したことから、最終投資決定へ繋がっていく可能性が高まった。LNG生産能力は年950万tで、ガスの性状も良好なため、効率的な開発が可能とされる。CCSも取り入れる方針で、低炭素LNGとしての安定供給も可能といわれる。
もう一つは、パプアニューギニアで進むLNG事業だ。同プロジェクトは仏トタールエナジーが主導、ENEOSなども参加している。生産能力は年約560万tの計画。しかしトタールとパプア政府との協議がうまく進展せず、遅延している。加えて、環境NGOなどからは開発エリアなどで先住民の同意を得ていないことや生物多様性に関する問題も指摘されており、金融機関に対する融資停止要請もされていた。
その結果、2月までに世界29の銀行および輸出信用機関がパプアLNG事業を支援しない方針を明らかにした。ただ、日本の三菱UFJフィナンシャルグループは同プロジェクトの財務アドバイザーとなっており、最終投資決定後には他のメガバンクとともに融資を行う可能性もあるという。
とはいえ、金融機関が守るべきとされる「エクエーター原則(環境・社会等への影響が大きい場合に事業者に是正を促す)」に反しているという指摘もあり、融資実行には波乱もありそうだ。またFEEDを手掛けた千代田化工建設も建設受注に前向きではないと言われ、最終判断が注目されている。
(以下については本誌2862をご参照ください)
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