プライム市場の上場企業に対し我が国のサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)に準拠した「有価証券報告書」(有報)の作成を義務づける検討を進めてきた金融庁の作業部会が6月27日に中間整理を行った。金融審議会の「サステナビリティ情報開示と保証のあり方WG」で検討を進めてきたもので、「ロードマップ案」を作成した。
引き続きWGは、虚偽記載に問われかねない誤りが見つかっても一定の条件下で許容する「セーフハーバー・ルール」の導入検討を進め、次期通常国会で金融商品取引法(金商法)の改正を目指す。
■プライム企業に段階的導入・保証義務化も
ロードマップ案では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)及び国際サステナビリティ基準等の国際ルールに沿って今年2月に策定されたSSBJ基準に基づいた有報の作成を、プライム市場上場企業の時価総額の大きな企業から順次、義務づけていく工程表を示した(図参照)。
時価総額3兆円以上の企業(68社、25年3月末時点)は2027年3月期、3兆未満〜1兆(171社)は28年3月期、1兆未満〜5千億以上(248社)は29年3月期から適用開始する方針だ。5千億円未満の企業は国内外の状況を踏まえ別途検討する。また適用企業への経過措置として、それぞれ最初の2年間のみ、有報の提出後3ヵ月以内に気候情報を遅れて提出する二段階開示を認めることにした。
加えて、気候情報開示の信頼性を高めるため、第三者による保証制度も導入する。開示義務適用開始の翌年から第三者機関による公表資料の保証実施を義務づける。SSBJ基準では、ガバナンスやリスク管理とあわせスコープ1(自社の直接排出)、スコープ2(自社の間接排出)及びスコープ3(サプライチェーン全体での排出) の開示を求めているが、この保証制度は当面2年間、スコープ3を適用除外とする。
(以下については本誌2829をご参照ください)
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