政府は11月28日の臨時閣議で、新型コロナウイルス禍以降最大となる一般会計歳出18兆3034億円の2025年度補正予算案を決定した。物価高対策や成長投資など総合経済対策の財源とする。歳入は国債の追加発行が11兆6960億円とおよそ6割を占めた。今臨時国会に提出し、年内の成立を目指す。
経産省等:GX関連エネ供給網・核融合重点
経済産業省の補正予算案は約2兆7000億円、国庫債務負担行為の複数年度分を含めた規模は約3兆1000億円となった。工業用水道の強靱化、データセンター(DC)の地方拠点整備、中小企業支援などに取り組む。経済成長と脱炭素の両立を促すGXの取り組みとして、浮体式洋上風力発電設備の製造事業者支援などを進める(右記)。
分野別の計上額のうち、生活の安全保障・物価高対応が1兆3570億。危機管理投資・成長投資による強い経済の実現に1兆1634億円を充てる。
浮体式洋上風力などのGXサプライチェーン構築支援事業には55億を計上し、債務負担行為を含めて845億円を確保する。同事業では中小企業を含めた日本企業に高い産業競争力を期待、GX分野の国内製造サプライチェーンを確立するため、水電解装置、ペロブスカイト太陽電池、燃料電池なども対象に、関連部素材や工場立地を補助する。
また工場の省エネ設備更新を支援する省エネ投資促進支援事業費補助金は国の債務負担を含めて175億円を要求。CO2回収・貯留のCCS事業支援は339億円を計上した。さらに、ペロブスカイト太陽電池の認証設備強化事業に11億円を充て、認証試験に必要な設備や施設の整備を支援する。製品や製造工程を適切に評価するため、国際標準の策定と国内第三者認証の仕組みを確立させる。
高市首相が打ち出した核融合発電関連事業についても手厚い予算を充てた。経産省のフュージョンエネルギー発電実証推進事業(200億、国庫債務負担を含め600億円)は30年代の実証を目指し、スタートアップ等における様々な炉型による研究開発を支援する。文部科学省もフュージョンエネルギーの実現に向けた研究開発の推進事業として95億円を計上した。うちITER計画の主要機器製作加速などに56億、ITER計画を補完・支援するBA(幅広いアプローチ)活動支援及びJT-60SAの機器整備に39億円。
他に内閣府の「30年代の発電実証を目指すフュージョンエネルギー研究開発・基盤整備の加速」で、326億円を計上した。
(以下については本誌2850をご参照ください)
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