週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2829.07.3




第1レポート次の記事

…27年3月期から段階的導入。第三者保証も義務化。スコープ3開示で虚偽記載適用免除

金融庁、有報の気候関連情報開示で30年向け工程案策定



 プライム市場の上場企業に対し我が国のサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)に準拠した「有価証券報告書」(有報)の作成を義務づける検討を進めてきた金融庁の作業部会が6月27日に中間整理を行った。金融審議会の「サステナビリティ情報開示と保証のあり方WG」で検討を進めてきたもので、「ロードマップ案」を作成した。
 引き続きWGは、虚偽記載に問われかねない誤りが見つかっても一定の条件下で許容する「セーフハーバー・ルール」の導入検討を進め、次期通常国会で金融商品取引法(金商法)の改正を目指す。

■プライム企業に段階的導入・保証義務化も
ロードマップ案では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)及び国際サステナビリティ基準等の国際ルールに沿って今年2月に策定されたSSBJ基準に基づいた有報の作成を、プライム市場上場企業の時価総額の大きな企業から順次、義務づけていく工程表を示した(図参照)。
時価総額3兆円以上の企業(68社、25年3月末時点)は2027年3月期、3兆未満〜1兆(171社)は28年3月期、1兆未満〜5千億以上(248社)は29年3月期から適用開始する方針だ。5千億円未満の企業は国内外の状況を踏まえ別途検討する。また適用企業への経過措置として、それぞれ最初の2年間のみ、有報の提出後3ヵ月以内に気候情報を遅れて提出する二段階開示を認めることにした。
加えて、気候情報開示の信頼性を高めるため、第三者による保証制度も導入する。開示義務適用開始の翌年から第三者機関による公表資料の保証実施を義務づける。SSBJ基準では、ガバナンスやリスク管理とあわせスコープ1(自社の直接排出)、スコープ2(自社の間接排出)及びスコープ3(サプライチェーン全体での排出) の開示を求めているが、この保証制度は当面2年間、スコープ3を適用除外とする。


(以下については本誌2829をご参照ください)



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…60年以上融資停止から一転SMR等再開、三菱重工とIHIは成長事業に位置付け

世銀の原子力融資転換で期待される建設資金の多様化


 世界銀行(世銀)の理事会は6月10日、原子力発電への融資再開を決定した。世界での原子力発電計画は小型モジュール炉(SMR)計画などの案件数が増えている一方、資機材の高騰で原発の建設コストも大幅に上昇しており、資金調達が大きな課題となっている中での方針転換だ。

建設プロジェクトへ66年ぶりの融資再開
 世銀は2013年のエネルギーセクターに対する融資方針において「原子力施設の安全性と不拡散は専門分野ではなく、原子力発電の資金提供またはその評価・開発に関する具体的な技術支援を行わず、原子力発電に係る内部能力の強化もしない」としていた。過去をたどると、世銀が実際に原子力発電に融資を行ったのは、1959年にイタリアのガリリアーノ原発建設プロジェクトに対して、約4000万ドルを融資したのが最後で、仮に今年中に融資が再開されることになれば、実に66年ぶりの融資再開となる。
 世銀のA.バンガ総裁は、すでに原子炉を保有する国での稼働期間の延長、送電網の更新や関連インフラへの支援のほか、小型モジュール炉(SMR)の開発への支援にも取り組むなど原子力への支援を進め、国際原子力機関(IAEA)と連携していく方針を示している。
 世銀は主に、貧困からの脱却への支援をその中心的使命としているが、今回の原発への融資再開は貧困解消のための電源設備投資だけでなく、広く原発の計画全般を支援する方針転換に見える。

世界原発50年に2.5倍、国内メーカーも受注
 世銀が原子力への融資を閉ざしていた間も、世界の原発はその数を増やし続けている。最近では特にSMRが実用化段階に入ったこともあり、その計画数は拡大中だ。日本原子力産業協会がまとめた「世界の原子力発電開発の動向」によると、25年1月1日現在、全世界で計画中の原発は合計95基、9452.3万kW。うち中国で9基、ウズベキスタンで6基の計15基が24年中に計画段階に入った。特にウズベキスタンの6基はすべてがSMRとなっている。



(以下については本誌2829をご参照ください)


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