週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2855.1.15




第1レポート次の記事

…質が悪く処理コストは高騰、環境への影響も大きい

米国ベネズエラ侵攻で注目される超重質油の行方と打算



 1月2日、米トランプ政権はベネズエラの首都カラカスを攻撃しマドゥロ大統領を拉致した。国際法に違反し、およそ100名の死者を出したという。表向きにはベネズエラの独裁体制の打破という身勝手な“正義”を振りかざしているが、ベネズエラの石油資源の獲得を狙っていると見られている。しかし、ベネズエラの石油資源が今日の脱化石燃料時代にどれだけ価値があるのか、疑問視する声も多い。

世界一の埋蔵量だが、精製コスト2倍も
 「ベネズエラの石油埋蔵量は世界一」と言われているが、これの活用には制約条件がつきまとう。 埋蔵されている原油は一般的な原油とは異なる「超重質油」。かつては「オリノコ・タール」と呼ばれていたもので、その埋蔵量は3030億バレルとも見られている。この原油は非常に粘性が高く、コールタールのようにドロドロしており、そのままでは採掘・輸送・精製が困難で、商業的に成り立たたず、長く放置されてきた経緯がある。
 問題なのはこの超重質油の処理方法だ。これを通常の原油として使用するには、まず熱や希釈油の添加によって流動性を確保し、その後、通常の原油精製では困難な深度処理技術(分解・改質・水素化処理)を組み合わせ、最終的にアップグレーダーで軽質油や合成原油に転換する必要がある。さらに、通常の精油精製設備に投入されて処理される。
 つまり通常の石油精製にかける前に、合成原油にまで処理するプラントが必要なため、処理コストは通常の原油に比べて2倍近くに跳ね上がる。しかも硫黄や重金属類を多く含むため、その除去対策にも多くのコストがかかり、その分CO2排出量も多くなる。
 これに対して、米国で産出されるシェール油やアラスカ原油は軽質油で品質が高く、処理コストも低く抑えられる。むしろ中質〜重質原油のブレンド材として使われるほどで、本当に米国はこんな超重質油を使いこなせるのか疑問が沸く。

処理能力大幅低下、国内処理施設活用が狙い?
 ベネズエラでは、かつてこの原油を処理するための設備も建設された。国営石油会社のPDVSA(ペドベサ)と独ヴェバオイル、米エクソンモービルの合弁会社から日揮ホールディングスが受注し、2001年に完成させた大型超重質油処理プラント(写真)だ。超重質油をナフサで希釈して合成油を生産するもので、処理能力は15万8000バレル/日。


(以下については本誌2855をご参照ください)



第2レポート 次の記事 前の記事

…ジェイテクトやINPEXなどが熱利用分野で続々とCO2排出を削減

排出量取引本格実施で熱の脱炭素化、水素活用主流に


 企業が事業所で使う化石燃料の脱炭素化が始まりそうだ。設備投資や水素などへの燃料転換を伴うため、これまで化石燃料の燃焼に伴うCO2排出削減は遅れがちだった。だが、2026年度から日本版排出量取引制度「GX―ETS」が始動すると、設備投資が促される。すでに先行する大企業が水素や地中熱の利用に着手した。
 
■GX―ETS開始で熱利用CO2削減必須に
 GX―ETSは政府が企業に対し、排出量の上限である「枠」を設定。排出削減に取り組んでも上限値を超えた企業は、低く抑えた企業から余剰の枠を買って埋め合わせする。直近3年間のCO2排出量の平均が10万t以上の300―400社が参加を義務づけられる。その基準となる排出量は、事業所での化石燃料の消費に伴って発生するCO2だ。算定基準「GHGプロトコル」の「スコープ1」に該当する。
 電力であれば太陽電池の活用や「再エネメニュー」の購入、PPAで再エネを調達し、CO2をゼロ化できる。対して加熱や鋳造、焼成、乾燥など、化石燃料の燃焼を伴う“熱”の脱炭素化はハードルが高い。大がかりな設備投資が迫られるためだ。
 製鉄であれば水素還元方式や電炉の導入が必要だ。他の業態も電気による加熱方式(電化)への設備更新、もしくは重油から天然ガス、さらにガスから水素やアンモニアへの燃料転換が選択肢となる。

■都市ガスから水素利用転換、山梨国内最大拠点
 GX―ETS適用となる対象企業は正式に決まっていないが、化石燃料を多く使う企業は先行して設備更新に動き出している。自動車部品メーカーのジェイテクトは26年夏目途に、花園工場(愛知県岡崎市)でアルミニウム溶解の燃料として水素の利用を始める。溶解は高熱を必要とする工程であり、従来は都市ガスを燃料としていた。また、利用する水素は太陽電池で発電した電力を使って水から製造する「グリーン水素」だ。
 INPEXは26年春にも、新潟県柏崎市で「柏崎水素パーク」を本格稼働させる。現地で産出する天然ガスを原料に水素を製造する。その水素の一部は発電に使い、地域に供給する。残りの水素でアンモニアも生産して地元の化学工場に送る。同社は当面、柏崎水素パークを実証運転して商用化を目指す。
 25年10月には山梨県北杜市で国内最大規模のグリーン水素製造拠点が稼働した。同県がサントリーホールディングス(HD)や東京電力HDなど10社と共同で建設した。製造した水素は隣接する工場等で使う。水素は年2200tを生産でき、CO2は年1万6000tの削減が可能。NEDOのグリーンイノベーション基金事業であり、事業費は約186億円だった。




(以下については本誌2855をご参照ください)


ジャンル別週間情報
前の記事

トランプ米大統領、気候変動枠組み条約等脱退署名

東急不動産と清水建設、太陽光パネルをリユース

JWPA、価格算定委で海域毎上限価格設定を要望

日本液化水素、世界最大の液化水素運搬船建造へ

IHI、CO2と水素からSAF試験製造に成功




戻る
【TOP】 【今月のキーワード】 【エネ環ダイジェスト】
【書籍紹介】 【最新号見出速報】 【今週の注目記事】 【記事データベース】
【こぼれ話】 【省エネ・新エネ】 【出版物案内】 【本誌紹介】 【会社概要】 【リンク集】
ML> m">【リンク集】 ML> ML>