1月2日、米トランプ政権はベネズエラの首都カラカスを攻撃しマドゥロ大統領を拉致した。国際法に違反し、およそ100名の死者を出したという。表向きにはベネズエラの独裁体制の打破という身勝手な“正義”を振りかざしているが、ベネズエラの石油資源の獲得を狙っていると見られている。しかし、ベネズエラの石油資源が今日の脱化石燃料時代にどれだけ価値があるのか、疑問視する声も多い。
世界一の埋蔵量だが、精製コスト2倍も
「ベネズエラの石油埋蔵量は世界一」と言われているが、これの活用には制約条件がつきまとう。 埋蔵されている原油は一般的な原油とは異なる「超重質油」。かつては「オリノコ・タール」と呼ばれていたもので、その埋蔵量は3030億バレルとも見られている。この原油は非常に粘性が高く、コールタールのようにドロドロしており、そのままでは採掘・輸送・精製が困難で、商業的に成り立たたず、長く放置されてきた経緯がある。
問題なのはこの超重質油の処理方法だ。これを通常の原油として使用するには、まず熱や希釈油の添加によって流動性を確保し、その後、通常の原油精製では困難な深度処理技術(分解・改質・水素化処理)を組み合わせ、最終的にアップグレーダーで軽質油や合成原油に転換する必要がある。さらに、通常の精油精製設備に投入されて処理される。
つまり通常の石油精製にかける前に、合成原油にまで処理するプラントが必要なため、処理コストは通常の原油に比べて2倍近くに跳ね上がる。しかも硫黄や重金属類を多く含むため、その除去対策にも多くのコストがかかり、その分CO2排出量も多くなる。
これに対して、米国で産出されるシェール油やアラスカ原油は軽質油で品質が高く、処理コストも低く抑えられる。むしろ中質〜重質原油のブレンド材として使われるほどで、本当に米国はこんな超重質油を使いこなせるのか疑問が沸く。
処理能力大幅低下、国内処理施設活用が狙い?
ベネズエラでは、かつてこの原油を処理するための設備も建設された。国営石油会社のPDVSA(ペドベサ)と独ヴェバオイル、米エクソンモービルの合弁会社から日揮ホールディングスが受注し、2001年に完成させた大型超重質油処理プラント(写真)だ。超重質油をナフサで希釈して合成油を生産するもので、処理能力は15万8000バレル/日。
(以下については本誌2855をご参照ください)
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