今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード
[過去229〜244 回までの今月のキーワード]


洋上風力の実証事業に高まる熱い期待
2013/07/24(Wed) 文:(水)

この夏日本の沿岸部2カ所で、次代の再生可能エネルギーの主役と期待されている浮体式洋上風力発電の実証研究事業がスタートする。(表紙に写真)
 一つは、福島県広野町沿岸部から約20kmの沖合海面に、出力2000kWの洋上風車1基と浮体式洋上変電所一式を建設する(第一期)。経済産業省の2011と13年度予算に計230億円が計上されている。来年度からは、第二期事業としてアドバンストスパー浮体とV字型セミサブ浮体と呼ばれる各々7000kW相当の風車を建設する。すでに、この5月から係留アンカーチエーンの設置や浮体構造物のドック出しが始まっており、今月20日頃には小名浜港から第一期で予定する一連の関連設備が広野沖に曳航される見通しだ。運転開始は期間途中の天候と海象条件にもよるが、10月中旬を目指している。この歴史的な事業を担う企業は丸紅、三井造船、ジャパンマリンユナイテッド、東亜建設。
 もう一つは、環境省が長崎県五島市の天見ヶ浦周辺海域に建設する実証事業で、これまでの100kW小規模試験機に代わる2000kWの洋上風力発電機を設置する。こちらも6月から設置のための準備工事に入っており、順調に行けば9月にも運転開始にこぎ着けられるという。このプロジェクトを進める企業等は戸田建設、日立製作所、芙蓉海洋開発の3社と京都大学、(独)海上技術安全研究所で、まさに産官学一体の開発体制となっている。どちらの事業が早く、首尾よく運転開始に漕ぎ着けられるか見ものだ。
 洋上風力には実用化が早いとみられている着床式と海底に固定しない浮体式の2方式があり、後者の開発実用化はそのポテンシャル規模や立地の容易性、関連技術の応用拡大などから、新たな一大産業を形成するのではないかと期待されている。海外でも浮体式洋上風力は実証事業が始まったばかりであり、先進各国は数年後の実用化にしのぎを削っている。日本と同じ海洋国の英国では、原発建設の代替として数百万kW規模の開発計画があるという。特に技術的な領域では、日常的に揺れながら巨大構造物が浮かぶという「不安定さの中での安定性の確保」や、台風などの荒天にも耐えられる未知の技術の確立がいたるところにあって、システムや部品一つ一つに独自の工夫が必要になるようだ。
 この分野で是非とも技術立国・日本がこれまで培ってきた高いレベルの実力を見せて欲しい。



原発の新規制施行、安全神話との決別が最大の対策
2013/07/03(Wed) 文:(崎)

 原子力規制委員会が原子力発電所の新しい規制基準を発表した。8日に施行される。東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、原子炉を冷却するための電源車や消防車の配備、フィルター付きベント(排気)装置の設置、不燃性の電源ケーブルの使用、活断層上への原子炉建屋設置の禁止などが主な内容だ。また緊急時の制御室設置など航空機によるテロ対策や火山噴火や竜巻対策なども盛り込まれた。
 関西電力など電力4社は8日の施行後、ただちに再稼働を申請する予定だ。いまのところ、北海道電力泊、関西電力大飯と高浜、四国電力伊方、九州電力玄海と川内12基が申請すると予想されている。ただし規制委員会の審査は半年程度かかる見通しで、実際に再稼働するまでにはさらに時間がかかりそうだ。
 電力会社は新基準に適合するためのコストと原子炉の寿命を秤にかけ、古い原発は廃炉にする可能性もある。一方で、電力会社は火力フル稼働のための天然ガスなどの燃料費増による経営圧迫の問題などから、申請した原発については早期の審査、再稼働を求めている。だが、再び原発事故が起これば、日本から原子力の火が消える事態になりかねない。ここは時間をかけても厳密に審査することが求められる。
 新基準でハード面の対策はそろうだろうが、もう一つ重要なソフト面の対策を怠ってはいけない。福島の事故は、防波堤の問題や電源喪失などが原因だが、その背景は「日本では過酷事故は起きない」という“安全神話”が背景にあったことは間違いない。原発はトイレのないマンションと揶揄されるが、実は過酷事故の際に住民を安全に避難させる非常口もなかったのである。
 電力会社は新基準をクリアしたから大丈夫と考えるのではなく、基準は再稼働のための想定できる最低限のハードルであって、常にそれ以上の安全を考えながら操業することが大切だ。万全の対策を施しても事故は起こると考えてハード面だけでなく、ソフト面の対策も講じなければならない。なによりも“絶対安全”はないこと、つまり安全神話との決別を、原発関係者が共有することが原子力の火を消さない最大の対策だと思う



電力改革法の修正てん末にみる危機感の希薄さ
2013/06/26(Wed) 文:(水)

最終ゴールとしては大手電力10 社の発電・送配電・小売部門を分割させる「電気事業法の一部改正案」が、一転して今国会で成立する可能性が高まってきた。この改正案は今後の電力システム改革を3 段階に分け、当面は全国大の電力需給等をコントロールする独立した「広域系統運用機関」を創設、次のステップとして現行の規制部門を取り払う「小売全面自由化」と、発送電分離を実現するプログラム規定を置いたもの。戦後60年ぶりの電気事業制度見直しと言われ、計画通り進めば2018〜20年頃には多様な業種がエネルギー市場に参入する大競争時代が到来すると予想されている。
 そうした電気事業改革を盛り込んだ改正法案だったが、国会提出に不可欠な自民党の了承とりつけにとまどって衆院提出が大幅に遅れた上、提出されたあとは民主党の抵抗姿勢にあい、法案成立が絶望視されていた。民主党は政権をとっていた昨年までは電力改革に熱心だったが、野党になった途端に支持母体である電力労連などの意向も呈してか、消極姿勢に転じていた。
 ところが、今月26日の会期末まで1ヵ月を切った7日の与野党協議で自民、公明、民主の3党が法案の修正で合意、それまでの対応方針を変えて審議促進を図り、野党多数の参院も通す合意ができているという。修正内容は、政府原案にあった全面自由化の実施時期やプログラム規定に関する法案提出の際の判断基準を厳格にしたものだが、正直言ってそれほど重要な修正とも思えず、自民と民主がお互いの面子を立てたとしか言いようがない。
 翻って、電力会社が抱える目下の課題を見てみよう。原発の再稼働については7月から新しい規制基準の下で安全性是非の審査が始まるものの、原発敷地内の活断層問題もあって本格的な複数地点の再稼働は来年になる可能性がある。この間、火力燃料費の増大と地球温暖化を加速させるCO2排出増が続き、加えて電気料金の値上げとともにわが国の貿易赤字が数兆円というかってない状況が常態化する。また、電力会社自身の経営赤字も2〜3年にわたって続き、ほとんどの準備積立金を取り崩し、まさに経営存立の岐路に立つことになる。さらに、高経年化原発などの廃炉措置に伴う財務負担等が今後のしかかり、今回の改正案が予定した電力システム改革どころの話しではない。国会の電気事業法改正審議ではこうした現実の難題をどうするのか、原発の役割を中長期的にどう整理するかなど、全く答えが出されなかった。
 現実の問題から逃避したのでは、電力大競争時代という新しいパラダイムが生まれるはずがないと思うのだがどうだろうか。



スマートコミュニティはマーケットインの発想で
2013/06/12(Wed) 文:(崎)

 スマートシティ、スマートコミュニティが全国各地に広がってきた。インテグレーターである大手電機メーカーなどが国内でスマートコミュニティを実証して海外へシステム輸出しようという動きもあり、関連ビジネスは大きな広がりを持つとの期待感が高まっている。
 スマートコミュニティとは電気、ガス、上下水道などの社会インフラと住宅やビル、工場といった地域の建物やそこで使われるさまざまな機器、システム、自動車などを、情報通信技術(ICT)などによって有機的につなぎ、環境負荷を低減しながら快適な生活が営める地域づくりである。
 日本では東日本大震災と原子力発電所の事故により、電力供給に懸念が生じたこともあり、エネルギーがスマートコミュニティの中心課題になっている。太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電、コジェネレーション(熱電併給)、蓄電池などを組合わせ、系統電力への依存を低減する構想が多いようだ。だが最終的にスマートコミュニティが目指すところはエネルギーだけではなく、交通システムや医療・福祉、防災、治安などに広がっていくものとみられる。
 ただし現状では政府系の補助金による実証事業が中心になっている。このため補助金が途切れた時にビジネスとして成り立つコストが必要になる。またスマートコミュニティビジネスの調査を行った機械振興協会経済研究所の近藤信一研究副主幹は「大手電機メーカーなどのインテグレーターと地域のニーズに齟齬(そご)がある」と指摘する。
 大手メーカーは自社のシステムを中心にB to B(企業向け)のビジネスを志向する傾向があるが、実際にスマートコミュニティのユーザーは地域の住民であり、本来はB toC(消費者向け)のビジネスであるということだ。このビジネスはあくまでも地域のニーズ、実情に合わせたマーケットイン型のビジネスでなければならないということである。
プロダクトアウトの発想ではグローバルに展開しようとしても“ガラパゴス化”しかねない。インテグレーターは地域住民のニーズの把握に努めると同時に、地域の実情を熟知した金融機関や中小企業をプロジェクトにかませるといった方法で、マーケットイン型のビジネスモデルを確立すべきではないだろうか。それが国内市場を広げることにつながり、さらにグローバル展開にも役立つと思われる。



猪瀬東京都知事の電力改革提案
2013/06/05(Wed) 文:(水)

 東京オリンピックの招致運動では失言でミソをつけた猪瀬直樹知事だが、エネルギー需給問題の解決とりわけ電力システム改革にかける意気込みは副知事時代から変わらず意気軒昂だ。先月25 日には茂木敏充経済産業大臣を直接訪れ、電力システム改革の進め方に関して5 項目を要望、経産相の強いリーダーシップを迫っていた。
 要望で目立ったのは、「新電力」(新規参入の電力会社)に域外供給も含め供給シェアの30%程度を担うような政策展開をすべきというもの。もう一つは、中小の発電が多い公営水力(全国に約240 万kW 存在)を新電力に売電できる環境整備を推進して欲しい、という内容。前者については、新電力の供給シェアが全国大で2 〜3%程度(東京電力管内は7〜8%)なので、とてつもなく大きな数字であり、その意味するところは現行10 電力体制の再編を促していることだ。加えて、従来の供給エリアを超えた域外供給による競争市場化も強く要求した。すでに都は昨年から隣の中部電力に対して、関連施設への供給を打診、今年度も同様の要請中だ。
 昨年は原発停止による供給力不足を理由にその域外供給を断ったが、今年度はそれほど需給逼迫がひどくないのに加え、東電の電気料金が値上げにより中部電力に較べて平均1 割以上高くなっており、断る理由が難しい。これまでも、都は東電との契約を順次新電力に切り替えており、これが加速化する可能性がある。猪瀬知事と会談した茂木経産相も、域外供給が進まないネックを調べてみると応じ、国の電力システム改革制度の施行よりも早く実現しそうだ。
 後者の公営水力を新電力のベース電源に切り替える話も、これまで電力会社に安い売電価格での供給をしてきただけに、これが自由化されれば再生可能エネルギーの市場も一気に膨らむ可能性がある。この問題では東電が契約違反として52 億円の賠償要求をしていたが、どうやらそれも引っ込める形で解決になりそうだ。
 ただ、猪瀬知事はこうした時代のスポットライトを浴びるようなテーマについては攻勢を強め実行力もあるが、少し地味でより大事なテーマについては目をつぶっている。例えば、大都市・東京としての電力大需要をどう構造的に減らしていくのかという政策展開が見えない。また、東電の大株主としての福島第一原発事故による被害者対策や安全対策の責任などには沈黙したままだ。



イノベーション担う再生エネベンチャーに期待
2013/04/24(Wed) 文:(和)

 アベノミクスに日銀が歩調を合わせ、円安、株高が進んでいる。これで日本経済に明るさが戻ったと考えるのは早計だろう。円安になれば、燃料や食料をはじめとする輸入品の価格は上がり、企業はコスト高、生活者にとっては出費増につながる。金融政策による誘導に、実体経済がついていかなければ、単なるミニバブルにすぎない。
 日本経済の“失われた20 年”は何に起因するのかを正確に把握し、持続的成長を目指さなくてはならない。日本経済は戦後、奇跡的な高度成長を遂げたが、1990 年代初頭以降、低迷が長期化している。これは経済成長の成功体験を引きずり、経済グローバル化の波に乗れなかったことが原因の一つだ。
 DVDプレーヤーや液晶パネル、カーナビなど日本企業が技術面での優位性を背景に、初期段階で100%近い世界シェアを持っていた製品が、コモディティ化するとともに新興工業国にシェアを奪われる例が少なくない。本誌が対象としている太陽電池パネルなどの再生可能エネルギー関連にしても同様の傾向がうかがえる。
 いくら知的財産権で守る、ブラックボックスにするといっても、グローバル化の時代だから、技術、特に製造プロセスの技術は、技術者や製造装置、材料とともに世界中に広がっていく。それは日本が米国の技術を導入して高度成長を遂げたよりも速いスピードで広がっていく。バブル崩壊後、「創造的破壊」なる言葉が使われたが、大手電機メーカーの不振をみると実はこれが十分にできていなかったのではないかと思われる。つまり日本企業には従来の延長線上ではない非連続の発想に基づく製品、サービスの開発が求められている。フロントランナーとして成長していくには破壊的イノベーションを連続的に起こすことが必要なのだ。具体的には、新しい知識やアイデアをもとに人々が困っていることを解決する、あるいは顕在化していないニーズに応えるモノやサービスづくりである。しかも知識を産業にするサイクルを高速に回さなくてはならない。
 再生可能エネルギー関連産業は本格化したばかりである。非連続の発想で新しい製品やサービスを生み出してほしい。特に成功体験のない若い世代の人々が再生可能エネルギーベンチャーを興し、イノベーションの担い手になってもらいたい。



「一票の格差」違憲判決が立法府役割を変えるか
2013/04/03(Wed) 文:(水)

 国政選挙で一票の価値が日本一軽いといわれる衆議院千葉4区の当選得票数(昨年12月)が16万6334票(ちなみに、当選者は野田佳彦前首相)、これに対して、岩手1区で当選した議員は5万5909票で、単純に見ればおよそ3倍の格差がある。こうした「一票の格差」に対して、「公平な選挙権の行使が阻害されて違憲、かつ前回の選挙は無効」と主張する裁判が全国で17件も提起されていたが、広島高等裁判所の筏津裁判長は3月25日画期的な判決を下した。
 その判決内容は、広島1・2区で実施した昨年12月の選挙は違憲であるとして「無効」との判断を初めて示した。今年11月26日までに選挙制度が是正されなければ前回選挙の有効性を失うとも指摘した。これまで裁判所は立法府における選挙区割りの見直し努力を見守り、選挙自体は無効としない「事情判決」を出してきたが、ついに堪忍袋の緒が切れた判決でもあった。実は、この問題は3.11からの震災復興と経済再生を目指すわが国にとって大きな関連性を持っている。また、先月交渉参加を表明したTPP(環太平洋自由貿易協定)や再生可能エネルギー等の導入拡大などにも深く関わっている。
 端的に言えばわが国の国会の勢力には、選挙で投票した民意がそのまま反映されず、今の一票の格差が選挙制度により歪められているということだ。その結果、国会勢力では党派を問わず得票数の少ない農村系議員が圧倒的に多く、予算や税制、法制度の制定・見直し、各種の規制緩和などで第一次産業に有利になるような構図がまかり通っている。昨年暮れの2013年度税制改正作業が佳境に入っていた時、農水省等が温暖化の原因となるCO2を吸収する機能として森林環境税の創設を強く要求した。しかし、同じような温暖化対策税がすでに導入されており、霞ヶ関ではとても無理とみられていたが、土壇場で農水系議員を大量動員する一方で自民党幹部に大攻勢をかけ、逆転寸前までいったという。資源エネルギー庁や環境省の官僚はそのすごさに顔が青ざめたようだ。
 再生エネの導入拡大においても、風力発電の立地やメガソーラー設置に伴う農地転用許可の困難さなど多くの隘路が指摘されている。もちろん一次産業存続の重要性は論を待たないことでもある。しかし、「一票の格差」問題の解決が立法府の機能を大きく転換させ、わが国の将来をよりよい方向に導いていくのではなかろうか。



スマートコミュニティー“被災地モデル”を全国に
2013/03/21(Thu) 文:(山)

 東日本大震災の被災地ではがれき処理などの復旧は進みつつあるが、本格的な復興はこれからだ。津波と原子力発電所の事故により、いまだに多くの人々がつながりを断たれたままでいる。人と人のつながりはもとより、人と住まいのつながり、人との職つまり工場や事務所や田畑や漁場やお店や学校などとのつながり、さらに人とコミュニティーのつながりが寸断された。
 本格的な復興とはこれらのつながりを元に戻す、あるいは新しくつなぎ直すことだと思う。原発の事故を踏まえ、まずは被災地に安全・安心、かつ持続可能で災害に強いエネルギーのインフラを整備することが、こうした復興全体を機能させるカギとなるだろう。
 被災3県を中心に東北では再生可能エネルギーの導入やスマートコミュニティーの構築、エネルギーの研究や実証が計画されている。昨年12月には経済産業省が次世代エネルギー・社会システム協議会を開き、「スマートコミュニティー導入促進事業」として7件のマスタープランを認定した。
 時報PV+3月15日号でも宮城県気仙沼市の取組みなどを紹介している。そのほか、岩手県宮古市・エネット・東日本電信電話、宮城県大衡村・トヨタ自動車東日本など6グループが2015年度までにスマートコミュニティーづくりに取組む。
 農業、漁業、工業、観光業、住宅など地域の中心的な産業も異なる。当然、エネルギーの使い方も違ってくる。コミュニティーとは単なる地域社会ではなく、一定の地域に居住する共通感情を持つ人々の集団である。スマートコミュニティーは再生可能エネやコジェネレーションなどの分散型エネルギーを、情報通信技術と蓄電池により効率的に使うことだが、構築には地域の特性を生かすこと、そして地域の住民、企業が積極的に参画していくことが欠かせない。
 分散型エネルギーなどを核として雇用はもちろん、つながりを再構築する視点を持たなくては、スマートコミュニティーは成功しないだろう。被災地だけでなく、国内の多くの地方都市が高齢化や人口減少によるつながりの寸断で、衰退の危機にさらされている。スマートコミュニティーの“被災地モデル”を全国展開し、地域の活性化にも生かしていくことが求められている。



東電の石炭火力新増設問題に注目
2013/03/06(Wed) 文:(水)

東京電力が先月中旬から入札募集を開始した計260 万kW 規模の電源計画の行方が注目
されている。経営再建を目指す同社にとっては、柏崎刈羽原発の再開見通しが立たない中、
中期的なベース電源として是非とも確保しておきたい火力発電所だ。入札条件で設定した
上限価格の9.53 円/kWh というきびしい水準から、応札案件は事実上石炭火力とみられて
いる。ところがこの石炭火力計画に、環境省は国内のCO2削減対策から問題ありとして
難色を示し、計画を推進したい経済産業省も巻き込んだ調整が続けられている。
入札公募期間は5 月24 日までとなっているが、環境省のきびしい対処方針が続けば、
その後必ず事業主体が実施することになる環境アセスメントの手続きでノーとなる可能
性が高い。そうなると先行投資分を回収できない事態も想定され、投資リスクが大きく
なって応札に二の足を踏む企業が多くなる。
注目点の一つは、既設原発の再稼働遅れによる電力供給方策の代役として石炭火力の
新増設が容認されるのかどうか。当面の代役としては、再生可能エネルギー導入の加速
化や天然ガス火力の推進などが安倍内閣でも踏襲されているが、石炭火力の新増設はC
O2削減の観点から政府として強く「抑制方針」を採ってきた。2009 年には福島県の小
名浜で計画された石炭火力が中止に追い込まれたケースもあった。環境省にしてみれば、
そうした政府としての政策判断があったにもかかわらず、中長期のエネルギー政策も不
在のまま、東電計画だけを特別扱いするわけにはいかないという認識だ。
もう一つは、欧米の石炭火力新増設計画では従来のような単純な生焚きではない高効率
の燃焼方式や、将来CO2の貯留・回収を行うCCS対策などをセットにする事例が多くなっ
ており、日本の国際的な遅れが指摘されていることである。特に米国ではCO2が法律に
基づく大気汚染物質となっており、新増設に際して最大限の環境対策が要求されている。
また、高効率の燃焼方式は「ガス化複合発電」(IGCC)技術として、日本の日立製作所
や三菱重工業が世界のトップを走り受注に成功、国内でも商用段階に入っている。
メーカー側はこうした技術の海外展開が世界のCO2削減に大きく貢献するとして、
日本での採用を期待しているようだ。当然こうした方式の採用は建設コストのアップを
招くが、一時の近視眼的なコスト高を判断基準とするのではなく、国内において新技術
を採用することで石炭利用の隘路をなくし、それをバネとして世界のCO2削減にも大
きく貢献するという、大局的な判断を行うべきではなかろうか。



電力自由競争の時代に 〜顧客に選ばれる工夫が試される〜
2013/02/13(Wed) 文:(雄)


 経済産業省の電力システム改革専門委員会が電力会社から送配電部門を分離する発送電分離の報告書をほぼまとめた。小売りの全面自由化や料金規制の撤廃なども盛り込まれた。経産省はこれに沿った電気事業法改正案を今国会に出す方針だ。これにより60年余り続いた大手電力会社による地域独占体制が崩れる。
 大手電力会社が発送電を担う垂直統合型システムは高品質の電気を供給して日本の高度経済成長を支えた。一方で独占の弊害も指摘され、10数年前から部分自由化が進められたが、現実にはほとんど大手間の競争は起きず、特定規模電気事業者(PPS)のシェアも低迷している。ところが福島第一原発の事故による電力供給不安で状況が一変した。
 報告書によると、まず地域を越えて広域的な系統計画策定と需給調整を担う広域系統運用機関を2015年に設立。16年をめどに小売りへの参入を全面自由化し、18〜20年に大手電力の送配電部門を別会社にする法的分離で発送電を分離する。最終的には料金規制を撤廃して自由に料金が決められるようにする。
 改革が実現すれば、異業種からの電力市場への参入が期待される。また再生可能エネルギーによる発電の普及にもつながるだろう。通信の自由化が料金を下げ、さまざまなビジネス、多様なサービスを生んだように、電気の世界でも大きなビジネスチャンスが到来するとみられる。もちろん改革により安定供給が損なわれることがないよう、適切な制度設計が求められることは言うまでもない。
 自由化が進めば、まず大手電力会社同士の競争が始まるだろう。さらにガスや石油といったエネルギー産業からの参入が相次ぐとみられる。これによってエネルギーの垣根を越えて熱や電気を供給し、国際競争力を備えた総合エネルギー企業が誕生する可能性もある。
 再生可能エネルギー発電事業者や地域に根差した中小の電力会社も料金の競争だけでなく、知恵と工夫で独自の料金体系などのサービスを生み出し、顧客に選ばれるようにならないと、総合エネルギー企業の競争のはざまに埋もれかねない。自由な競争はビジネスチャンスであると同時に、企業にとっては生き残り競争でもある。



高品質が当たり前の電力供給を見直す時期
2013/01/30(Wed) 文:(水)

 新年早々所用があって1年半ぶりに北京に赴いた。昨年報道された中国の電力不足が気になったが、幸い滞在中は停電にはぶつからなかった。ただ夜8時過ぎると、道路沿いのネオンサインや企業広告などの照明がかなり落とされ、街全体に必要な明かるさが不足気味であった。
 北京市民の電力利用は、日本のような誰でもスイッチ一つでいつでも使える方式とは違ってカード式システムだ。利用者は予め一定の金額が印されたカードを購入、それを自宅の配電盤に差し込み、購入価格に達するまで使う。金額の残がなくなると新たにカードを購入するが、たまたま金欠の場合は電気が使えなくなる。電気代も決して安くはないため、市民は絶えず節電に気を遣うし、マンションの共用スペース部分でもセンサーによる明暗の切換え技術が進んでいる。
 わが国は昨年12月衆院総選挙の自民党圧勝を受け与野党が交代、自民党・公明党政権による新たな政策展開が次々と展開されつつある。民主党政権時代に仕掛りだった「脱原発依存」の具体化や、「電力システム改革」のまとめも焦眉の急だ。後者では、経済産業省の審議会がすでに電力小売り部門の全面自由化を打ち出し、送配電ネットワークの中立性確保のため、現在の電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」という大改革に踏み切るかどうかが争点になっていた。
 電力業界とは近い関係にある安倍政権の対応が注目されているが、1月に再開された審議会ではこれまでの検討の方向通りに法的分離による発送電分離を具体化する必要性がほぼ共通認識となった。ただ、電力業界は長引く原発停止による財務状況の深刻化やシステム改革には約3600億円の費用がかかることを指摘、企業体力のないこの時期に拙速な改革を進めることのリスクを訴えた。このほかにも自然エネルギー導入拡大に伴う系統整備費、既設原発での安全対策強化費用など、とにかく電気事業にはカネのかかる事案が山積している。
 これらを考慮すると、日本の電気料金は今後間違いなく上がり続ける。電力改革の前提が、常に世界に類のない確実な供給(停電の少なさ)と高品質での供給義務となっているからでもある。この機会に、わが国でも中国のような需要家が主体的に電力利用を決めるシステムや、高品質から中品質供給に転換することを検討してはどうか。



経済対策はイノベーションによる雇用拡大に軸足を
2013/01/16(Wed) 文:(雄)

 第2次安倍晋三内閣が2012年末に発足した。安倍氏は首相就任前から大胆な金融緩和、インフレターゲットなどの金融政策をさかんにアナウンスした。市場は反応し、円安が進み、日経平均株価は大納会に年初来最高値を付けた。1万円札をどんどん印刷すれば、円の価値が下がって円安が進み、輸入価格が高騰してインフレが加速するだろう。
 一時的には景気浮揚のきっかけになるかもしれないが、こんな政策が長続きするだろうか。金融は経済の血液だが、血液だけが膨張して悲惨な結果を招くことはこの20年間に内外で多くの経験をした。大切なのは実体経済を立て直すことだ。実体経済が冷え込んだままではいくらお金をばらまいても国内には借り手がいない。
 旧自民党政権はバブル崩壊後、有効な経済対策を打てず日本経済を衰退へ導いてしまった。バブル崩壊後の長期不況により、高度経済成長を支えたと思われていた終身雇用制や年功賃金、系列取引などの日本的経営を見直し、米国などの経営システム導入を急いだ。社員には成果主義が適用され、社員に占める非正規雇用の割合を拡大させた。だが現実には経済は成長せず、失業率は高止まりし、所得格差が広がって、購買力のある中間層が減少している。
 中国などの新興工業国が経済成長しているのをみると、何をつくれば売れるかが分かっている場合は追いかける国のほうが有利だということではないか。したがってフロントランナーになったら、別の道を模索しなければならない。もともと経済成長は働きたいすべての人が働ける完全雇用ための手段である。完全雇用という目的のためにはワークシェアリングといった手段もあるが、一定の所得を得るにはある程度の経済成長は必要だろう。
 では、フロントランナーにとって経済成長に必要な要素は何だろうか。それはイノベーションである。新技術の開発、新しいアイデア、既存技術の組み合わせにより、潜在的な需要を喚起する、あるいは人々が困っていることを解決するような産業を興すことである。
 円をジャブジャブばらまくのではなく、こうしたイノベーションにより雇用を創出しようとするベンチャービジネスなどを見極め、的確に支援していくことが必要だと思う。安倍新内閣には、どうせ印刷する1万円札ならぜひとも有効に使っていただきたいとお願いしたい。



日本経済と生活の負の連鎖を断とう
2012/12/12(Wed) 文:(水)

 衆院総選挙後は3年前に政権を奪取した民主党から自民党・公明党を中軸にした政権交代の可能性が高まっている。特に今回の選挙戦で目立ったのは、わが国の中長期的なエネルギー戦略をどう構築すべきかが論戦になり、新しい政党の離合集散にも「原子力発電の存続か廃止か」の選択が大きな影響を与えた点だ。原発の存廃を巡っては、新政権が誕生しても国民的な議論が続くことになる。一方、現政権が打ち出した「再生可能エネルギー開発・普及」に対しては各政党とも異論がなく、むしろ加速化させるべきという主張が多かった。
 しかし、今の日本の経済社会にそうした体力が残っているかどうか。すでに指摘されているように、太陽光発電や風力発電の急速な拡大には広域送電網の容量アップや大型蓄電池の導入などに数兆円を要し、変動の激しい電源をカバーするための発電所建設も必要となる。それを今までのように大手の電力会社で対応できればよいが、既設原発の長引く停止により電力会社の経営状況は火の車だ。激しい選挙戦報道からあまり目立たなかったが、11月下旬に関西電力と九州電力が33年ぶりという料金値上げを経産省に認可申請、さらに来年2月頃までに東北電力や四国電力も続く見通しで、デフレ不況下の国内経済活動を直撃する。
 こうした情況を「工業立国・日本存亡の最大危機」と、断言する経済官庁の中堅幹部がいる。
 その見立ては、日本の貿易収支が原発停止→火力発電の稼働大幅増→化石燃料の輸入急増により2011年に31年ぶりという約2.6兆円の赤字、今年上期もその状況が続き2.9 兆円の赤字、年間ペースでは6兆円以上となる。輸出で稼ぎ頭の自動車や電気製品などでそのマイナス分を賄うのは不可能であり、「経済の負の連鎖」が始まりかねないという。負の連鎖とは、貿易立国としての元金消失→輸入化石燃料費用の支払い不能→国債価値の下落と消化コスト上昇→工業立国の衰退→再起は20〜30年は無理、という図式だ。
 ではどうしたらよいか。批判を覚悟して言えば、厳格なチェックをしている原子力規制委員会が安全と判断した停止中原発を1日も早く再開させ、早急に日本経済の体力を回復させることである。
 何よりも、良質の安定した電力供給を回復させて料金値上げを極力抑制、将来への投資が不可欠な再生エネ加速化のインフラ整備のための前提条件を整えるべきであろう。先日、突然起きた中央高速道・笹子トンネルの天井落下事故を見るまでもなく、世の中に「絶対安全」はあり得ず、いかなる価値を選択するかであり、そこには相対的な判断基準があって当然ではなかろうか。



国難をバネに新しい時代を切り開こう
2012/11/28(Wed) 文:(雄)

 野田佳彦首相は11月16日に衆議院を解散した。総選挙は12 月4日に公示され、16日に投開票となる。各党とも総選挙に向けていっせいに走り出した。総選挙の争点は脱原発か原発継続かを中心とするエネルギー問題、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加問題、経済成長戦略、社会保障、領土問題など多岐にわたる。
 今回の選挙の特徴は、既成の政党以外に民主党、自民党、公明党のなれ合いを許さないとする“第3極”として、多数の政党が乱立していることだ。90年代初頭以降の自民党政権が“失われた20年”から脱出できず、国民は3年前に民主党を選んだ。しかし東日本大震災・原発事故があったものの、結局、民主党も衰退に歯止めをかけることができなかった。このため2大政党の対抗軸を目指そうという動きだ。だが各党の主張は原発とTPPをとっても入り乱れている。原発継続・TPP交渉参加、原発継続・TPP交渉不参加、脱原発・TPP交渉参加、脱原発・TPP交渉不参加と、この二つの争点だけでも四つに分かれている。さらに不思議なのは重要な政策で意見が一致していない政党が合流を画策していることだ。政策と無関係にくっついたり離れたりしては、有権者はどこに投票したらいいのか。棄権を増やすだけではないだろうか。
 歴史学者の板野潤治氏は著書「日本近代史」の中で、「政治指導者たちは、ちょうど昭和10年代初頭のように、四分五裂化して小物化している。『国難』に直面すれば、必ず『明治維新』が起こり、『戦後改革』が起こるというのは、具体的な歴史分析を怠った、単なる楽観にすぎない」と記している。昭和10年代は二・二六事件が起こり、盧溝橋事件で日華事変が始まり、太平洋戦争へと軍部の暴走による破滅への道を歩んだのである。
 自民党は政権公約「日本を、取り戻す。」で、「集団的自衛権の行使を可能にし、国家安全保障基本法を制定」「自衛隊の人員、装備、予算を拡充」「憲法改正により自衛隊を国防軍に位置付け」としている。なんだかきな臭くなってきた。「日本軍を、取り戻す。」にならないことを祈りたい。
 戦後の焼け野原から立ち上がり経済大国を築いた日本だが、この20年、閉塞感が深まる中で3.11という国難に直面した。この状況をどのように克服して新しい時代を切り開くのかが問われている。有権者も歴史に学び、冷静に一票を投じなければならないということだろう。



日本の森林資源を今こそ活用しよう
2012/11/14(Wed) 文:(水)

 日本にはエネルギー資源がないため輸入に頼らざるを得ず、それに必要な外貨を稼ぐのに自動車や家電などを輸出して貿易収支を黒字にする必要があるとよく言われる。ところが、最近の貿易収支は既設原発の停止に伴う天然ガス(LNG)等の輸入急増によって外貨が流出、数十年ぶりの赤字(国富流出)が続き、国内経済にも深刻な影響を及ぼす事態だ。
 本当にわが国にはエネルギーなどに活用できる国産資源がないのか。実はあったのである。それもまだほとんど本格的に活用されていない全国にくまなく賦存している「森林資源」だ。いうまでもなく森林は国土保全や水源涵養の機能を持つ一方で、その樹木は木材資源として住宅や紙パルプ原料、バイオマス発電などにすでに利用されている。
 ところが、その利用が担い手不足やコスト面の理由からほんの僅かでしかなく、多くの山林は荒れ放題で再生不能な地域も少なくないという。
 日本の国土の約70%を森林が占めるが、戦後に農地解放など多くの社会改革が実施されたにも拘わらず、山林の所有形態だけは旧態依然の姿が残ったまま。近年は所有者の不明や山林ごとの境界が不明確という事例も相次ぎ、そうした実態が森林資源活用の大きな隘路にもなっているようだ。
 そこで、民間企業として培った経営ノウハウと資金力を集中的に投入して、日本の森林資源を木材供給やエネルギーなどに最大限活用しようという動きを進めているのが三井物産グループだ。物産は戦前から森林の保護・育成に力を入れており、今でも国内で民間の人工林所有の第3位にあたる総面積約4.4ha( 国土面積の0.1%相当) の山林を所有する( 1位は王子製紙グループ)。そうした「三井物産の森」は北海道から九州まで74 ヵ所に散在、しかも単に所有するだけでなく、コストをかけて管理を徹底、森林認証の国際基準
として権威のある「FSC認証」をすべての山林で取得しているという。これをテコに、同社は樹齢約50 年経った樹木を中心に伐採、製材→木工品→パルプ原料→燃料利用等の上流〜下流まで一貫した「カスケード利用」という新しいビジネスを模索している。
 原発停止により日本のエネルギー不足が現実化している今こそ、足下の森林資源の活用をコジェネ燃料や石炭混焼、ペレット燃料として全国的に展開する方策を編み出すべきではないか。



「知」をいち早く「富」につなぐシステムを
2012/10/31(Wed) 文:(山)

 京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった。山中さんの業績は万能細胞(iPS細胞)の開発である。2006年にマウスの皮膚細胞に4種類の遺伝子を導入するだけで、生体を構成するさまざまな細胞をつくりだすことができると発表。07年にはヒトの皮膚細胞からiPS細胞をつくることに成功した。
 万能細胞は神経や心臓などのさまざまな細胞をつくり出すことができる細胞である。
 難病の再生医療、病気の原因解明や患者ごとに最適な薬の開発、副作用のチェックなどに有効と期待されている。世界の多くの研究者から相次いで研究成果が報告され、偽物が出るほど(?)iPS細胞は医学分野で最もホットな研究テーマの一つとなっている。
 自然科学分野での日本人(米国籍含む)のノーベル賞受賞者は1949年の湯川秀樹教授から数え、山中さんを含めて17 人になった。湯川教授から20世紀後半の50年は5人だったが、00年からは13 年間に12人が受賞する快挙となった。
 一方で、わが国経済はバブル崩壊後、20年にわたり低迷が続いている。それはモノづくりによって高度成長した成功体験から抜け出せていないことが一因である。経済のグローバル化が進み、新興国が同じモデルで追い上げてきている中で、変わらなければ成長は難しいと感じる。これからは研究に支えられた産業を主力にしていくことが、わが国の進む方向の一つではないだろうか。医学だけでなく、環境・エネルギー分野などでも同じことがいえる。
 そのためには狭い分野を深く掘り進む基礎研究を重視し、それらを融合して新領域を切り開き、その成果を産業応用につなぎ、効率的なモノづくりを実現するといった多くの種類の研究人材をバランスよく育成することが重要だ。研究成果の実用化には何十年もかかるのだから、人々の潜在的ニーズを見通す研究者も必要だろう。
 つまり、知恵を出して、それが富につながっていく社会を目指さなければならない。
 「知」をすばやく「富」につなぐシステムを充実させることが、「知の大競争時代」といわれる21 世紀を勝ち抜くポイントである。それには多様で層の厚い研究人材が必要で、そのためには若者の理科離れ、理工系離れに歯止めをかけることが求められる。



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