週刊「エネルギーと環境」 エネルギージャーナル社

今週の注目記事


Weekly Short Report


JAL、気象研等次世代航空機でGHG濃度観測開始

(地球温暖化対策)

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 日本航空(JAL)と気象研究所等は12月4日、民間航空機による大気観測プロジェクト「CONTRAIL(コントレイル)」を次世代機に継承した。
 コントレイルは、民間航空機を活用して上空のCO2やメタン、亜酸化窒素など温室効果ガスの濃度や同位体比を広範囲かつ高頻度で観測することで、地球規模の炭素循環や気候変動メカニズムの解明を目指す共同研究プロジェクト。民間航空機による上空のCO2濃度の観測は世界初の試みとして1993年にJALと日航財団(現JAL財団)、気象研究所の3者が着手した。2005年以降は国立環境研究所、ジャムコ、環境省(支援)も参画、継続して観測を続けている。
 これまではJALの主力機であるボーイング747や777型機を活用してきたが、順次退役時期を迎え次世代機「787-9型機」へと移行する。新型機にはCO2濃度連続測定装置と、自動大気サンプリング装置を搭載して観測を開始した。運航ルートは、主に東京(成田)と米国・ドイツ・マレーシアなどを結ぶ路線で、4日のJL407(成田〜フランクフルト)が初便となった。当面は1機のみの運航となるが、2025年度中に4機に拡大する。787-9型機が運航するインドや赤道域での観測を再開するとともに、中東での初観測も予定する。








遠州脱炭素プロジェクトでPPAサービス開始

(電力・ガス)

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 スズキは5日、同社とイオインダストリーが参画している「遠州脱炭素プロジェクト」によるオンサイト・オフサイトPPAサービスの利用を開始したと発表した。
 「遠州脱炭素プロジェクト」は、静岡県の遠州地域に拠点を持つ参画企業が、中部電力ミライズと遠州地域の脱炭素化への貢献を目的として太陽光発電(PV)の導入最大化と有効活用に取り組むもの。イオインダストリーは、中部電力ミライズが提供するオンサイトPPAサービスを活用、本社新居工場(静岡県湖西市)の屋根上に約645kWの太陽光パネル(写真)を設置。自社工場で使用するとともに、休日等の余剰電力を中部電力ミライズのオフサイトPPAサービスによってスズキ本社(静岡県浜松市)に供給する。
 余剰電力の融通先が確保されることで、イオインダストリーは屋根上の設置スペースを最大限に活用してPVを導入することが可能となり、スズキは余剰電力を調達することで、自社のサプライチェーンの脱炭素化を進められる。









九州電力、伊藤忠系企業に出資しDR事業推進

(電力・ガス)

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 九州電力は4日、伊藤忠商事子会社の蓄電ITスタートアップ企業のグリッドシェアジャパン(GSJ、東京都渋谷区・西尾仁志社長)に出資してデマンドレスポンス(DR)事業を推進すると発表した。
GSJの資金調達総額は16.8億円で、九電以外に東急不動産やオムロン子会社などが出資した。九電は今回の出資を通じて、DRサービスのさらなる普及拡大を進め、電力需給バランスの最適化に取り組む。
GSJはAIを活用して家庭用蓄電池などの分散型電源を最適に遠隔制御するサービスを国内で提供している。具体的には各家庭で翌日に必要な電力量や太陽光パネルによる発電量を予測し、蓄電池の充放電を最適にコントロールする。両社は2022年度冬季にはこの仕組みを活用し、電力需給の厳しい時間帯に需要家の蓄電池から放電するDR実証を共同で行ったことから、今回の出資につながった。









規制庁、原子力施設上空を飛行制限区域に指定へ

(原子力一般)

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 原子力規制委員会は原子力施設やその付近等の上空を飛行制限区域に設定する方針を固めた。国土交通省による航空法80条の解釈見直しを踏まえた措置で、11月26日の原子力規制委員会で議論された。規制庁は国交省と厚生労働省、防衛省、警察庁、消防庁、海上保安庁と区域設定の詳細を検討した上で、制限区域に関する詳細を決定する。そのうえで国交省に要請、告示によって制限区域が設定される見通しだ。
 現在も、航空機の墜落や部品落下等のリスク防止のため、原子力関連施設やその付近上空の飛行を避けるよう関係省庁が航空関係者に通達・周知を行っているが、11月4日に国交省が航空法80条の解釈見直しを行ったことから、同法に基づく制限区域とし強制力を持たせる。今後、制限区域の範囲や高度、対象外とする航空機など詳細を詰める議論を国交省をはじめとした関係省庁と今後開始する。
 制限区域を設定する原子力施設は、原電や原燃も含めた12電力会社の原子力関連施設や再処理・核燃料施設、試験研究炉など21件を想定している。









資エ庁、CO2船舶輸送共有化検討・支援措置も

(CC(U)S)

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 経済産業省資源エネルギー庁は12月3日、資源・燃料分科会のカーボンマネジメント小委員会を開き、CCS事業の2026年前後に予定する最終投資決定に向けた支援措置や制度整備の状況等を整理した。支援措置では、パイプラインの敷設に加えて船舶輸送にも枠組みを設ける方針を示した。
CCS全体のコスト低減を図るため、コンソーシアムごとに「CO2の分離・回収、共同液化・一時貯留→船舶輸送→貯留」までの事業全体を一体的に支援する現在の仕組みを一部見直して、コンソーシアムをまたいだ横串的な支援要素を加える。分離・回収、共同液化・一時貯留等の契約を公募方式にしたり、船舶輸送の共有化等の検討を行う。特に船舶輸送に関しては、経産省とJOGMECがタスクフォースを新設して検討を進める。
 JOGMECの先進的CCS事業は、パイプライン輸送が3件、船舶輸送が6件の計9件が採択されており、石油資源開発等による北海道苫小牧市沖で進める「苫小牧CCS」が国内第1号として11月に試掘作業を開始した。INPEX等が千葉県九十九里沖で貯留を計画する「首都圏CCS」も、国が事業エリアとして定める特定区域に指定した。
 一方、制度面では経産省と環境省が合同でCO2安定貯留に向けた監視・漏洩防止措置やJOGMECへの移管、資金確保措置など政省令案の概要を先月提示。詳細を詰め、来年5月の全面施行を予定する。










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