原子力規制委の17年度予算、監視・検査体制強化 エネルギーと環境
週刊「エネルギーと環境」 エネルギージャーナル社

今週の注目記事


Weekly Short Report


米国とエネ保障+クリーンエネ移行の共同声明

(エネルギー政策)

次の記事 前の記事


 経済産業省は1月9日、米国エネルギー省(DOE)との間で、エネルギー安全保障とクリーンエネ移行に向けた協力に関する共同声明を発表した。(表紙に写真)
 西村経産相が同日、米国のグランホルムエネルギー長官と会談した。共同声明のポイントは、@エネ安全保障強化のための米国での上流投資への支援、A原子力次世代革新炉の開発・建設、既設炉の最大限活用、ウラン燃料を含む原子力燃料及び原子力部品の強靭なサプライチェーン構築、Bクリーン水素・アンモニアに関する政策強化及び日米企業間の継続的な協力、C日米クリーンエネルギー・エネルギーセキュリティ・イニシアティブの進捗の確認と促進、D2023年のG7に向けた協力――の五つ。AではCO2排出実質ゼロ達成に向けて協調することを強調。両国は重要鉱物と材料の供給多様化への努力を促進し、原子力利用を望む国に対して安心、安全かつ信頼できる原子力利用に関する広範かつより集中的な協力プログラムを実施することで合意した。



電ガ監視等委、東北電に情報漏えい報告徴収

(電力・ガス)

次の記事 前の記事


 電力・ガス取引監視等委員会は13日、情報漏えい事案に関して東北電力ネットワークと東北電力に電気事業法に基づく報告徴収を実施した。監視等委は同日、一般送配電事業者と関係小売電気事業者に対し、監視等委員長名で行為規制違反有無について緊急点検を求めることも発表した。東北電力NWと東北電への報告徴収、大手電力各社の緊急点検の回答期限は今月27日まで。
 昨年末の関西電力送配電による情報漏えい発覚を受け東北電力が自主調査したところ、一般送配電事業者として漏えいを禁じられている新電力の顧客に関する非公開情報が、東北電力NWの端末管理不備により、東北電力の小売事業部門の複数営業所内で閲覧されていたことが判明。閲覧していたのは八戸、岩手三陸、仙台北の3営業所という。3営業所とも、小売部門社員のID、パスワードで東北電力NWの端末にログインでき、情報を入手できた。送配電事業の情報入手を遮断するシステム改修が未整備だった。
 関西電力と関西電力送配電は昨年12月27日に監視等委から情報漏えい事案について報告徴収を求められ、1月13日に報告。さらに1月16日に経産省から法令等遵守について報告を求められた。



政府、ALPS処理水行動計画改定・放出へ準備

(原子力一般)

次の記事 前の記事


 政府は13日、東京電力福島第一原子力発電所から排出されるALPS処理水の処分を着実に進めるための関係閣僚等会合(議長;松野博一官房長官、10省庁等で構成)を開き、風評被害払拭に向けて2021年12月に策定した行動計画を改定、処理水の海洋放出時期については「23年春から夏頃」と明記した。
 これに対し、風評被害を懸念する福島県の漁業関係者からはあらためて批判、反対する声が挙がった。一方で東京電力は、「原子力事故の当事者として廃炉・処理水対策等の安全・品質を確保し、一つ一つ着実に進めることで信頼の回復に努め、復興と廃炉の両立に向けた責任を果たしていく」とのコメントを発表した。
 この行動計画では風評払拭に向けた各省庁等の取り組みを11分野に分けて提示した。改定計画には漁業者支援の基金の新設(500億円)、東電による新たな賠償基準の策定と早期の体制整備構築などを新たに盛り込んだ。また新たな汚染水排出量低減目標として「28年度までに約50〜70万m3/日」(現行:25年までに100万m3)を設定した。海洋放出の時期に関しては「東電による海洋放出設備工事の完了、工事後の規制委員会による使用前検査、IAEAの包括的報告書等を経て、本年春から夏頃と見込む」との工程を明示した。



洋上風力、北海道3区域でセントラル式調査活動

(省・新エネ)

次の記事 前の記事


 経済産業省と国土交通省は1月13日、洋上風力発電に関するセントラル方式事業としてJOGMECが23年度に実施する調査対象3区域を選定したと発表した。 選定された3区域は、都道府県からの情報提供と第三者委員会における意見を踏まえ、「北海道岩宇・南後志地区沖」、「北海道島牧沖」、「北海道檜山沖」となった。セントラル方式とは、風力開発の準備段階の調査や系統連系協議などを国や自治体が事前に関与し、複数事業者が入札価格を競うことで、再生可能エネルギーのコストを低減する仕組みだ。
 セントラル方式は21、22年度にNEDOが「北海道岩宇及び南後志地区沖」「山形県酒田市沖」「岩手県洋野町沖」で実施しているが、JOGMEC法改正により今年度から洋上風力発電に関する地質構造等の調査業務を追加されたことで、23年度以降はJOGMECがセントラル方式区域の調査事業を実施する。
 調査対象3区域は、調査活動の実施により操業上の調整が生じる関係者(漁業・航路等)から、調査活動への理解がすでに得られている。JOGMECが現地の風況や風車を建てる海底地盤の状況を調べる。3区域は再生エネ海域利用法の「一定の準備段階に進んでいる地域」に選ばれており、セントラル方式調査と並行して次段階の「有望な区域」選定に進むことを目指す。



公取、脱炭素・循環経済実現で独禁法指針案提示

(地球温暖化対策)

次の記事 前の記事


 公正取引委員会は13日、脱炭素化や資源循環など「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方に関する指針案」をまとめ、意見公募を開始した。22年度内にも指針をまとめる。
 公取委は、グリーン社会の実現に向けて企業連携等を行うケースなど様々な取り組みが独禁法上、問題となるかならないかの考え方について、具体事例を挙げて示した。これにより、独禁法上のリスクを払拭するとともに、適切な競争行為を促していく狙い。
 指針案は、@共同の取り組み(共同研究開発、技術提携、標準化活動、共同購入、共同生産、販売連携、データ共有など)、A取引先事業者の事業活動に対する制限と取引先の選択に関する行為、B優越的地位の濫用行為(購入・利用強制、経済上の利益の提供要請、取引の対価の一方的決定、その他取引条件の設定等)、C企業結合(株式保有、合併、事業譲受等)――の分野ごとに、公取委としての見解を示した。単独で研究開発を行うことが困難な温室効果ガス削減技術に関する共同研究開発や温室効果ガスの削減に向けた共同購入は問題とならないとする一方、代替的な技術を排除する共同研究開発や価格等の制限を伴う共同研究開発は問題になると指摘している。一方で公取委は相談窓口を設置、事前相談を積極的に受け付ける方針を示した。
 脱炭素化や循環経済の実現に向けては、業界全体での供給網整備や競合各社が知見を持ち寄ったりする局面が多くなり、独禁法上のリスクがつきまとう。このため公取委は、様々な具体的事例を示すことにより、独禁法違反等の必要以上の懸念を払拭したい考えだ。






【TOP】 【今月のキーワード】 【行事予定カレンダー】 【エネ環ダイジェスト】
【書籍紹介】 【最新号見出速報】 【今週の注目記事】 【記事データベース】
【こぼれ話】 【省エネ・新エネ】 【出版物案内】 【本誌紹介】 【会社概要】 【リンク集】
 
DY>