週刊「エネルギーと環境」 エネルギージャーナル社

今週の注目記事


Weekly Short Report


CO2等排出量取引の詳細設計開始、年内まとめ

(CO2等排出量取引)

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 経済産業省は7月2日、産業構造審議会の排出量取引制度小委員会(委員長;大橋弘・東大院副学長)の初会合を開き、2026年度から本格開始する排出量取引制度「GX―ETS」の詳細設計に着手した。
 初会合では、検討項目として@制度対象者、A算定・検証、B割当方法等、C上下限価格と市場設定――を提示。@の制度対象では、CO2排出目標量を共同で届け出ることができる「密接関係者」の定義を検討。直接排出量10万t以上の子会社や関連会社を束ねる親会社が排出枠の割り当てを受ける届出と排出実績量の算定・確認・報告、排出枠の保有義務の履行、移行計画の策定を行なう。
 Aの算定・検証では、算定方法の考え方とカーボンクレジットの使用上限、各企業の排出量実績の確認・認証を担う登録機関の要件などを整理した。カーボンクレジット(J−クレジットと二国間クレジットに限定)の使用上限は実排出量の10%とする一方、情勢に応じて見直す考えも示した。
 各業種ごとに定めるベンチマークに関しては、多量排出事業者を対象とした製造業(鉄鋼、化学、石油、紙パ、セメント等)及び発電部門の二つのWGを立ち上げて、それぞれ算定式を検討する。8月の次会合では、排出枠の全体像などを審議。年末頃にとりまとめを行う。








GX産業集積でコンビ再生型・DC集積地域公募へ

(GX)

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 政府はこのほど、「GX戦略地域」の創出に向けて「コンビナート再生型」と「データセンター(DC)集積型」の2類型を想定し、夏頃に選定地域の要件を公表して案件を募集する方針を示した。
 コンビナート再生型では、域内既存設備の休止等により今後数年間で総面積数100ha以上の土地利用転換が発生する地域を対象とする。また土地利用転換に自治体・事業者・投資家が一体となり既存インフラを有効活用しGX型に転換すること、脱炭素電力を活用しスタートアップを中心とした新規産業創出を行う体制及び計画が整っていること、既存事業についてAI(人工知能)活用による効率化を行っているなどを要件に掲げた。
 DC集積型については、将来系統容量が拡張でき、通信インフラを整備しやすい地域を対象とする(すでにDCが集積する東阪エリアは除く)。地域で脱炭素電力を活用して自治体がDCの立地を生かしたAIの活用促進や地域振興計を策定していることが条件とする。
 それぞれの共通事項としては、当該地域が国家戦略特区として指定され、規制・制度改革に関する提案がなされていること(指定に向け提案準備があることも含む)も要件とする。さらに政府は「GX産業団地」の形成も促進、進出する事業者を支援する。自治体が数十〜数百haの産業団地を造成し、団地に誘致した企業が脱炭素電力を活用することなどを要件とする方針だ。










環境省、PFOS等を水道水質基準対象に追加

(環境施策一般)

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 環境省は6月30日、有機フッ素化合物(PFAS)のうち、健康影響が確認されたPFOSとPFOAを水道法に基づく「水質基準」の対象に定めるために省令を改正した。施行は2026年4月1日。水質基準値は2物質の合計で50ng/l(ナノは10億分の1)で、現行の暫定目標値と変わらない。今回水質基準に格上げすることで、自治体と民間の水道事業者には、3ヵ月に1回の定期的な水質検査と基準を守る義務が課される。
 施行後は、基準値を超えた場合、事業者などに原因究明や水質改善が求められる。小規模な簡易水道や病院など特定の居住者向けの専用水道では、一定要件を満たせば、検査回数を減らせる軽減策も盛り込まれた。
 併せて、環境省は公共用水域・地下水における水質汚濁に関する環境基準も、来年4月1日付けで現行の要監視項目から指針値に引き上げる。また「PFHxS」など8物質を新たに水道法及び公共用水域それぞれの「要検討項目」に位置づけ、検出状況などの情報収集を進める。











千代化、工場設備活用し需給調整市場で取引開始

(電力・ガス)

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 千代田化工建設は7月3日、電力取引に際して需要家の工場設備を活用する方策を開始したと発表した。
 同社は需要家である大規模製造業者の工場設備特性を分析し、製品品質や安全性への影響に配慮しつつ、調整力の供出を実現した。この結果、需給調整市場での取引実施に必要な事前審査に合格し、実運用においても市場要件への安定的な対応が可能であることも確認した。
 近年は再エネ導入の急拡大により電力供給設備だけで電力需給バランスを維持するのが難しくなっている。需給調整市場は電力の供給側だけでなく、需要側の調整力によっても電力システムを安定化できる。この需給調整市場に参入するには、調整力の供出に関して応答時間、継続時間、許容範囲など多くの技術的要件が設けられており、千代田化工はそれをクリアした。










東北電力・新仙台火力のハヤブサひなが巣立ち

(電力・ガス)

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 東北電力は6月30日、新仙台火力発電所(宮城県仙台市)で環境省レッドリスト絶滅危惧2類に指定されている希少猛禽類「ハヤブサ」(表紙に写真)の生育環境保全活動の成果で、今年もひなが誕生→巣立ちしたと発表した。同発電所の煙突に人工巣箱を設置、野生のハヤブサが安全に繁殖できる環境を整えるこの取り組みは、2015年から始めて11年目となる。
 今年5月に3羽のひなが誕生し、社員が6月12日に全羽の巣立ちを確認した。20年から6年連続の繁殖成功で、継続的な生物多様性の保全活動が今年も実った形だ。ハヤブサはかつて都市化や環境汚染により個体数が減少し、現在も特別に保護が必要とされている猛禽類。国内では様々な保護活動が行われているが、企業による10年以上にわたる継続的な生育環境保全の取り組みは数少なく、同社の活動はその中でも継続的な成果を上げている事例の一つだという。











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