週刊「エネルギーと環境」 エネルギージャーナル社

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Weekly Short Report


COP30閉幕、成果少なく次回で仕切り直し

(気候変動対策)

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 ブラジル・ベレンで開催されていた気候変動枠組み条約の第30回締約国会議(COP30)は11月22日、会期を1日延長して、気候変動による被害等を低減させるための「適応」対策資金を従来約束の3倍に増やすなどの合意文書を辛うじて採択、閉幕した。次回のCOP31は来年11月にトルコで開催される予定。
 会議には195ヵ国・地域が参加。世界第2のCO2排出量の米国はトランプ大統領の「温暖化対策は詐欺」などの認識から欠席、日本は石原宏高環境相が後半の閣僚級会合に出席しさらなる国際協力の必要性を強調した。合意文書には途上国向けの「適応資金」について、先進国側が2035年までに3倍増やすとしたものの、その金額や資金調達方法、中国の扱いなど詳細は固まっていない。
 また、議長国ブラジルが提唱した「脱化石燃料実現に向けた工程表」や「適応策の共通指標」の新たな策定についても、中東産油国等からの異論が強く見送りとなった。








COP30で脱炭素化貢献策提示、IPCC誘致も

(気候変動対策)

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 石原宏高環境相は21日、ブラジルにて開催中の「国連気候変動枠組条約第30回締結国会議(COP30)」で、「日本の気候変動イニシアティブ2025」を発表した。
 今年2月に公表したNDC(国際貢献目標)に基づいて世界の脱炭素に向けて我が国が取り組むべき施策の考え方を示した。それによると、わが国は▽自然との共生による「シナジー(相乗効果)」、▽市場メカニズムや先端技術などの「ソリューション」、▽インベントリを改善する「透明性向上」を通じて、世界の脱炭素実現に貢献すると表明した。
 「シナジー」では、ブルーカーボンを通じた脱炭素の深掘り、気候変動対策と生物多様性保全に資する適応ビジネスの展開、SATOYAMAイニシアティブの推進及びCO2吸収源としての機能を有する自然共生サイトの取組、企業の気候変動・自然・循環性情報の開示促進等に取り組むとした。「ソリューション」では、JCM(二国間クレジット)の推進とともに、省エネ徹底と電力の脱炭素化、ペロブスカイト等次世代太陽電池及び次世代半導体、人工光合成、潮流発電、水素などの技術開発と実装促進を指摘。透明性向上では、観測技術衛星GOSAT−GWの活用による各国GHGインベントリに対する精度向上支援などを挙げた。この一環として2027年に開催予定の「IPCC総会」の日本への誘致を目指すことを発表した。









政府、21.3兆円の総合経済対策決定・補正予算へ

(経済対策)

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 政府は21日、臨時閣議を開き物価高への対応などを柱とする21.3兆円規模の「総合経済対策」を閣議決定した。家計支援として26年1〜3月に電気・都市ガス料金を計7000円程度補助する。
 電力・都市ガス消費量がピークの1、2月使用分の負担軽減を特に重点化し、低圧電力は1kWh当たり4.5円、高圧は2.3円補助。都市ガスは1m3当たり18円補助する。3月は低圧1.5円、高圧0.8円、都市ガス6円の補助となる。
 総合経済対策による25年度補正予算案の一般会計からの支出は17.7兆円で、24年度補正を4兆円ほど上回る。特別会計が9000億円で、減税分として所得税がかかり始める「年収の壁」の引き上げにより1.2兆円、ガソリンの旧暫定税率の廃止で1.5兆円をそれぞれ見込む。国と地方自治体、民間資金をあわせた事業規模は42.8兆円となる。
 エネルギー分野では原子力や地熱、ペロブスカイト太陽電池、洋上風力をはじめとした国産エネルギー利活用関連の補正予算による支援を進める。また日米間の関税合意に基づく投資イニシアティブ(約80兆円)の着実な履行に向け、国際協力銀行、民間金融機関の融資リスクをカバーする日本貿易保険に必要な措置を講じる。









GXで脱炭素電源開発支援拡大、投資戦略見直しも

(GX(グリーントランスフォーメーション))

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 政府は11月17日に「GX実現に向けた専門家ワーキンググループ」を開き、GX推進戦略の投資戦略の見直しについて議論、@脱炭素電源と電力系統、A運輸・民生部門、Bエネルギー多消費産業、Cスタートアップ創出等――の4分野について、対処方針を示した。
 @では、「脱炭素電源(再エネ・水素・アンモニア・原子力)や系統整備への対応など、今後業界全体で過去最大規模の投資を複数年にわたって継続的に行っていくことが必要」と指摘。新技術の開発や設備投資には直接的支援を継続して行う一方、再エネと原子力は「成熟領域」と位置づけ、民間投資喚起策の一つとしてGX推進機構の債務保証制度を活用し投資支援の拡大を図る。
 Aの建築物については、規制等制度的措置と合わせ、GX価値の高い建材や設備等に対する支援の拡充・強化を図る。また自動車は、電池とともに規制と支援の一体化を前提に税制措置も含め見直す考えを示した。特に、日米関税協議の合意を踏まえたクリーンエネルギー自動車の補助金見直しに関しては、「車種間の競争条件が公平性を維持できるよう、車種毎の標準車両価格に一定割合を掛けたものを補助上限額とする方向で検討中」とした。持続可能な航空燃料のSAFにも触れ、最終投資決定が当初計画より後ろ倒しとなっているとの懸念を示し、早期に対応策を検討する必要を指摘した。
 Bのエネ多消費産業向けには、鉄鋼業などGX価値の見える化によるGX市場の創出が大きな課題と指摘。民間調達と公共調達における制度整備、その促進策に取り組む。化学業界に関しては「基礎化学品の燃料・原料転換により強靱な化学産業の基盤を整えつつ、低炭素な先端素材等の機能性化学品への投資環境整備を進め、化学産業全体の競争力を強化すべき」と指摘した。









柏崎刈羽原発再稼働で花角知事が7項目付し同意

(原子力一般)

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 新潟県の花角英世知事は21日、県庁で臨時記者会見を行い重要な懸案事項となっていた東京電力柏崎刈羽原子力発電6・7号(135.6万kW×2)の再稼働に係る地元同意について、国等の取り組みが県民に十分理解されることなど7項目の確認・順守を前提に、「了解することとする」との方針を表明した。
 7項目の条件は、@原発の必要性と安全性に対する国等による県民への丁寧な説明、A安全性に関する新たな知見の再確認、B緊急時対応が円滑・確実にできるよう民間事業者との連携、C原子力関係閣僚会議に示された「避難路の整備促進」「除排雪体制の強化」「屋内退避施設の集中整備」などへの早期方針決定と推進、D使用済み核燃料の処分や災害発生時の風評被害の賠償、E内閣官房副長官トップの「監視強化チーム」による実効性ある活動、F電源三法交付金の不合理現状見直し――を示した。
 こうした条件を付した花角知事は、12月に開く県議会において、今回の判断が妥当かどうかの是非を「信任」又は「不信任」の議案として問うと表明、自らの進退を県議会の判断に委ねた。県議会の勢力は再稼働を容認する方針を示してきた自民党などが過半数を握っており、順調に進めば来年早々にも優先する6号機の運転開始に進むと見られる。ただ、県民意識調査ではおよそ半数近い県民が東電の再稼働に反対若しくは不安との認識を示しており、政府が立ち上げた監視強化チームの対応や今後10年で1000億円を県に拠出するとした東電への信頼性向上がカギとなる。
 柏崎刈羽原発の再稼働は経産省がこの2年間省を上げて全力で取り組んできたが、それが成就した格好だ。










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