週刊「エネルギーと環境」 エネルギージャーナル社

今週の注目記事


Weekly Short Report


高市政権初の経済対策17戦略、気候変動除く

(エネルギー・環境行政)

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 政府は11月10日、官邸で開いた日本成長戦略会議(議長;高市早苗首相)の初会合で、近く策定する総合経済対策に盛り込むべき重点施策を示した。それによると、計17の戦略分野のうち「資源・エネルギー安全保障・GX」の重点施策は以下の内容を盛り込んだ。予定する今年度補正予算に反映させる。
 ▽原子力発電所の再稼働促進と次世代革新炉の早期の社会実装、原子力防災対策の推進、▽地域共生の対応策を強化しつつ風力、地熱等の再エネ導入を促進及び自治体と企業の再エネ導入等脱炭素化の取組に対する支援強化、▽ペロブスカイト太陽電池の研究開発や国内外市場への本格展開促進、▽使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル制度の検討及び技術実証・設備導入支援、▽蓄電池等の導入支援、▽電力安定供給確保に向けた大規模電源や地域間連系線、地内基幹系統整備促進のための制度的措置検討、▽工場・事業所・住宅等の省エネ化、建物の断熱性向上、省エネ設備の導入等支援、▽GX戦略地域としてのコンビナート再生、データセンターの集積、脱炭素電源を活用した投資促進による新たな産業クラスターの創出――など。 また首相自ら旗を振るフュージョン・エネルギー(核融合などITER計画推進)も柱の一つに挙げた。
 さらに、経済安全保障推進法の特定重要物資であるレアメタル等対策の強化も明記されたが、国際交渉が進む気候変動対策は17の戦略分野の対象になっていない。








次世代地熱をGI基金対象、脱CO2廃棄物処理も

(GX)

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 経済産業省は10日に産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会を開き、グリーンイノベーション(GI)基金事業の対象に「次世代型地熱技術の開発」を追加する方針を示し、了承された。GI基金の支援対象は21件目。超臨界地熱やクローズドループ、EGS(地熱増産システム)などの開発を想定。具体的な支援額は作業部会で検討する。
 次世代型地熱は、資源エネルギー庁に設置された官民協議会が先月「2050年までに77O万kW以上を導入するとした「ロードマップ」を策定していた。
 また同日の部会では、既存プロジェクトの「廃棄物・資源循環分野」(環境省担当)の事業のうち「CO2分離・回収を前提とした廃棄物焼却処理全体システムの開発」を追加する方針も決めた。同事業はすでに23〜25年度の3ヵ年事業として、日鉄エンジニアリングがラボ試験等を実施中だが、大規模実証における90%以上の回収率を目指した事業計画を新たに策定する。事業者公募を経て開発・実証に取り組む。









国交省、建築物省エネ法住宅TR制度拡充強化へ

(省・新エネ)

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 国土交通省は11日、社会資本整備審議会・建築環境部会を開き、住宅・建築物の省エネルギー性能を引き上げるための対策と、ライフサイクルカーボン(LCCO2)評価の促進方策について議論、新たに住宅の省エネ対策を強化する方針を示した。現行の「2030年までにZEB/ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル/ハウス)水準の目標達成」に向けた取り組みの強化を図るもので、既存の建築物省エネ法に基づく住宅トップランナー制度に加えて、新たな計画策定・報告制度を設ける方針。
 具体的には、住宅トップランナー制度の対象事業者(一定規模以上の戸建住宅及び共同住宅の供給事業者:市場の1/2程度)のうち、特に大量の住宅を供給する事業者(市場の1/4程度を想定して範囲を設定)を対象として、現行目標よりさらに高い省エネ性能を確保するため、「中長期的計画の策定と毎年の実績報告制度」を新設する(自主取組。開示も事業者に委ねる)。 
 また同省は、ZEB/ZEH水準達成に役立つ特殊な構造・設備を用いた住宅・建築物の評価・認定制度の創設も打ち出した。外部の風を取り入れて冷房負荷を削減する「自然換気システム」や、地中熱を活用して空調エネを削減する「クール・ヒートトレンチシステム」などの新技術の活用を想定。認定事業者には容積率の緩和など特例措置を認めることで、ZEB/ZEH目標達成の加速化を促す狙いだ。









経産省、PV土砂災害対策拡大と再エネGメン

(省・新エネ)

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 経済産業省は12日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(委員長;山内弘隆・一橋大名誉教授)の会合を開いた。会合ではメガソーラーをはじめとするPV規律強化策の検討状況が報告された。
 事務局はすべてのPVに対して、土砂流出や地盤崩壊を防止する措置を求める方針を示した。従来はFIT・FIP認定事業に対し適用される事業計画策定ガイドラインに規定されている措置だが、電気事業法に関連する技術基準の解釈を見直して、26年度からの非FIT・非FIPを含めたすべてのPV適用を目指す。
 また事務局は、FIT・FIP認定発電所向けの関係法令違反通報システムと通報事案を現地で調査する「再エネGメン」について、非FIT・非FIP発電所も通報対象に追加するとした。こうした措置により国内PV全体に対して、関係法令が確実に順守される体制を構築するという。









エア・ウォーター、14カ所に垂直ソーラー設置へ

(省・新エネ)

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 エア・ウォーターは14日、自社開発の垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」をグループ拠点に導入し、今年度中に全国14カ所へ設置すると発表した。
 同社は2026年度までに太陽光発電(PV)の導入設備容量10MWを目指しており、その一環として今回、豪雪地帯を含む全国14カ所に垂直ソーラー発電システム設置する。豪雪地帯や屋根構造の制約、敷地の狭さなど、従来型PVの導入が難しかった事業所でも設置可能で、敷地境界線沿いや駐車場、緑地内、通路脇などに幅2.5mのスペースがあれば施工可能とする。パネルは地表から2m以上の高さに設置するため、安全柵やフェンスが不要で、設置場所を他用途と共用できるなどのメリットがある。
 また移設可能な新モデル「VERPA-Mova(ヴァルパ・モバ)」を、地産地消エネルギーを活用した資源循環モデルの開発施設「地球の恵みファーム・松本」(長野県松本市)に設置(表紙に写真)。同製品は杭基礎が不要な置き基礎タイプで、コンクリート構造面など、従来設置が難しかった場所にも簡単に導入できるという。










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