エネ環こぼれ話 エネルギージャーナル社

エネ環こぼれ話


環境産業育成・お得意の自主的取り組みを本格的にしたらいかが?
2000/07/027(Wed)14:00:39 文:石井

   森首相がつくった「産業新生会議」の初会合では、経団連の今井 会長がプレゼンを行い、「環境・循環型社会へ向けた取り組み強化」 をテーマの一つに取り上げ、「廃棄物等の定義の見直し」や「新資 源産業センター」の創設等を要望したそうだ(詳しくは本誌No.1606 Weekly欄)。「環境産業の育成」がもともとのテーマになっていると は言え、経済団体からそういう提案があるというのは、誠に結構な ことだ。しかし、不思議に思うこともある。
 昨年暮れにあった通産省の産業構造審議会廃棄物・リサイクル部 会で、経団連事務局のある幹部が廃棄物対策の「自主行動計画」の フォローアップについてプレゼンしたが、それに対して経済学者か ら物言いがついた。その学者は「景気が悪くなると、にわかにケイ ンズ主義を持ち出して財政出動を要望するくせに、環境対策は“自 主取り組み”を主張する。いったい大きな政府か小さな政府かどっ ちなんだ」。要旨こう苦言を呈した場面があった。日頃からなんと なく疑問に思っていたことだけに、非常に溜飲が下がる思いだった。
 ところで、同じ通産省が今月「ガス・石油機器リサイクル懇談会」 の中間報告をまとめ、ガス・石油機器について、法的対応も含め事 業者による回収・リサイクルシステムの構築を検討すべきと提言し た(こちらも本誌No.1606Weekly欄)。曰く、ガス・石油機器は9割が リサイクルしやすい金属なのに自治体等による“処理”にまわりリ サイクルが進まない。故に事業者自らが回収しリサイクル率を向上 するのだ、と。
 さて、冒頭の産業新生会議での経団連の主張だが、「廃棄物等の 定義の見直し」など何年も同じような意見を言っている(コロコロ 変わるのも困りものだが)。しかも相変わらず大きな政府だか小さ な政府だかわからない。「リサイクル率向上のために、使用済み製 品の回収・リサイクルは全部産業界にお任せ下さい」と、自治体の 仕事の代役を見事果たして地方で小さな政府を進め、そろそろお得 意の自主的取り組みを本格的に進めないと、環境産業の育成もおぼ つかないと思うのだが。



そんなことまでは期待されていないんだろうけど・・・
2000/02/09(Wed)18:19:39 文:石井

  ほとんどボヤきに近いが、今回、通常国会への提出予定法案の
 記事を書くにあたって、国会の「異常事状態」をどう表現するか、
 少し悩んだ。
  週刊誌の常として、〆切と発行日は2〜3日のタイムラグがあ
 る。 現時点で「こう」と思っていても、発行日には全然違う情勢
 になっていることもある。
  大阪府と京都市の選挙の前後で、与野党の雪解けムードがやや
 出てきた、ということが〆切日には少し見えたけれど、発行日に
 どうなっているか、ということはなかなか予測が難しい。
  もちろん、私自身の主な情報源もテレビ・新聞だし、国会情勢
 について「エネルギーと環境」を情報源にしようなんて読者の方
 はあまり期待していないとも思う。
  だからといって、無視してもいいかというと、記事の内容から
 して事態の推移をどう読むかが重要な点だ。書く以上は、当然そ
 の文章に責任を持たないといけない。
  さらっと書いているようで、そういう小さな悩みをいつも抱え
 ながら、週刊「エネルギーと環境」というのはできあがっている
 のです。



廃棄物・リサイクル法制のパッチワーク
2000/01/19(Wed)18:21:33 文:

 最近、厚生省水道環境部が発表する説明資料の図がわかり
やすくなってきている。No.1580の4ページに掲載した「マ
ニフェスト制度」の説明資料(右の画像)や、No.1571の8ペ
ージに掲載したダイオキシン対策法施行に伴う「新たなばい
じん等の処理方法」の図などはわかりやすかった。見てすぐ
に、本誌掲載の図表として採用することを決めた。特に「ば
いじん等」の方は、ウチの編集長も「珍しくわかりやすいね
ぇ」と驚いていた。

 情報化による機器やアプリケーションソフトの発達が寄与
する部分も大きいのだろうが、いろんな批判にさらされて、
国民に対してわかりやすく説明しよう、という姿勢が最近違
ってきたのだろう。

 かつては、同省が発表する廃棄物関係の資料はお世辞にも
わかりやすいものではなかった。ただでさえ廃棄物関係の法
律はわかりにくい。それでも気の利いた図表があれば、理解
しやすいのだろうが、しつこく担当者に取材して、やっと合
点がいくというのが日常茶飯事だった(○○さん、その節は
お世話になりました)。

 ダイオキシン対策法が施行し、今年の通常国会で個別リサ
イクル法が成立すれば、さらに廃棄物・リサイクル法制のパ
ッチワーク化・複雑化が進む可能性がある(もちろん、対策
が進むのであれば喜ばしいことだが)。何とかわかりやすい
「総合法制」をと願うが、「環境省」に期待するほかないの
だろうか。

※右上の画像は厚生省発表資料をもとに本誌が加工しました。
(本誌No.1580に掲載しています。 クリックすると大きく表示
されます。)

Link:http://www.enekan.net/cgi/closeup.htm


「Y2K問題」とうちのカミさん
2000/01/06(Thu)22:40:28 文:

     新しいミレニアムとともに「Y2K問題」の行方が注目されたが、
    特に大きなトラブルはなかったようです。ただ、今年1年は安心で
    きないといいます。

     過ぎたから言えるといわれればそれまでだが、小生は国内では大
    きな混乱は起きないと考えていました。
     だから、買いだめは一切しませんでした。
     その理由をちゃんと説明しろといわれてもうまく言えませんが、
    「技術」やそれを担っている人々へのある程度の信頼感ともいうべ
    きものでしょうか。

     東海村はといわれると困りますが、コンピュータだけに完全無欠
    を求めるのも人間様のおごりです。
     コンピュータを駆使する依然の人間社会自体の問題がゴマンとあ
    るのですから。

     もっともわが家が買いだめしなかった理由も、小生自身がカミさ
    んにほとんど信用されていないという厳粛な事実からきているので
    すが。



行き詰まる産廃処分場問題、即効薬は「急がば回れ」
1999/12/08(Wed)17:22:05 文:

 産業廃棄物処分場の残余年数が、今年9月末時点から残りたった1.6年という状況になっているという。1.6年といえば約1年7カ月。2001年1月に廃棄物行政を一元化した「環境省」が発足してから、数カ月で処分場が満杯になってしまう計算だ。もし、早急に対策ができなければ「トイレなき日本経済」になり、新生環境省の最初の大きな試練になる可能性がある。
 本誌では、厚生省の由田秀人産業廃棄物対策室長に、なぜこうなってしまったのか、不法投棄に流れているという産廃問題の実態が今どうなっているのか、即効薬はあるのか、などについて先日掲載した(No.1573参照)。
 一方で、廃棄物・リサイクル問題といえば、「循環型社会構築」が大きなスローガンになっている。自自公の与党3党でもプロジェクト・チームが急ピッチで議論を行っている。しかし、理念先行型で、今目の前に迫っている足許の問題に関して、どこまで視野に入っているのか疑問だ。理念を軽視して良いとは思わないし、「強い環境省」の発足に向けて政治がアプローチしようとする意識も理解できる。しかし、不法投棄の横行を放置しておいて「循環型社会」も何もない。
 由田室長は、施設ができない要因として、住民の抵抗が大きな要因となっているのではないか、と説明していた。厚生省の生活環境審議会の議論では、産廃処理施設設置への「公的関与」が一つの焦点になりそうだ。しかし、関与を強くすれば、地域住民からの信頼が高まるという単純な図式とも思えない。
 やはり地域レベルでどういう産業がどう産廃を排出し、何がリサイクル可能で、どのくらい処分が必要なのか、どこで受け入れられるのか、現状をオープンにして学識者、産業界、処理業界、行政、住民で話し合いながら決めていく「急がば回れ」方式しかないのではないか。昨年3回にわたって紹介した「札幌市リサイクル団地」(No.1491,1494,1495)は、その好例と考えるのは私だけか。
(石)
本誌参考号数;No.1573



原子炉等規制法改正案に盛り込まれた“密告”制度
1999/12/04(Sat)19:49:41 文:清水

 国会で審議中の原子炉等規制法改正案(11月25日に衆院通過)の第66条の2で、「主務大臣に対する申告」として今回次のような規定が新しく設けられた(要旨)。
 「原子力関係事業者または使用者がこの法律に基づく命令の規定に違反する事実がある場合は、これらの従業者はその事実を主務大臣に申告することができる」「原子力関係事業者または使用者は、前項の申告したことを理由として、その従業者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない」
 つまり、これは原子力発電所や核燃料加工工場などでおかしなことが行われている場合に、それについての「密告」を勧めるものであり、仮りに「密告」があっても会社側はそれを理由に不利益な扱いをしてはならないという規定だ。こうした規定は労働安全衛生法などの法律にままみられるらしいが、かなり異例な条文ともいえよう。案の上、先月24日に開かれた総合エネルギー調査会の原子力部会では、複数の委員からその運用に際して慎重な扱いを求める声が出された。これに対して、通産省の事務当局は衆人監視ということもあってかムニャムニャ答弁で切り抜けたが、たしかに難しい問題かもしれない。日本社会ではもっともきらわれる「働いている仲間でも裏切れ」ということであり、そこでの職場の雰囲気自体がトゲトゲしいものとなるだろうし、かえって「安全確保への連帯感」が損なわれる可能性もあるからだ。おそらく、より重要なのは常時の安全対策の仕組みが地域社会や一般国民に常にピカピカのガラス張りになっているということかもしれないが。
              (参照号数 No1574)


【これより古いこぼれ話】

【TOP】 【今月のキーワード】 【行事予定カレンダー】 【エネ環ダイジェスト】
【書籍紹介】 【最新号見出速報】 【今週の注目記事】 【記事データベース】
【こぼれ話】 【省エネ・新エネ】 【出版物案内】 【本誌紹介】 【会社概要】 【リンク集】