動植物や微生物等の遺伝資源へのアクセス円滑化と、それを利用して得た利益の公平な分配の「国際ルール」制定を交渉中の生物多様性条約作業部会が16日、多数の留保事項をつけた議定書案をまとめた。同会合は9月中旬に再開され、10月に名古屋市で開催される締約国会議(COP10)で採択するための交渉を継続する。
交渉難航必至の様相は依然変わっていないが、今回初めて遺伝資源の利用国側と提供国側がともに歩み寄りの姿勢を示すなど、確かな前進もみられた。一方で、議定書制定に意欲的な外務省と、企業活動への影響や実効性のある担保措置構築に懸念を示す経産省と対応への温度差が目立つ。
合意目指し歩み寄り、国内担保措置で駆け引き
「遺伝資源のアクセスと利益配分」(ABS)に関する作業部会は、3月の南米コロンビアのカリ会合後に公表された31条からなる議長案をベースに交渉が行われた。
現在論点となっている事項は、(1)適用範囲、(2)利益配分、(3)アクセスの改善、(4)利用国の措置――など。従来の交渉は各国がそれぞれの主張を繰り返すばかりだったが、今会合では初めて提供国・利用国ともに部分的ながら譲歩の姿勢も示し始め、合意点と対立点がかなり明確になってきた。
論点の(1)は、提供国側が議定書の適用時期を「条約発効前」までさかのぼるよう主張しているもの。これを強く求めているのはアフリカ諸国で、基本的にEU諸国による植民地時代の「搾取」に対する怨嗟に由来する極めて地域的な問題、と関係者は指摘する。そうした特殊事情の下で解決は容易でないとの見方がある一方で、例えば別途に基金等をつくって個別に対応(事実上の補償措置)するような仕組み作りを考えるべきとの声もある。
(以下については本誌2097をご参照ください)
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