週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

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No.2672.4.21




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…農地・森林も盛土規制区域の対象に。環境省は廃棄物混入142件の対策具体化へ…


盛土法案衆院通過へ、農林地・廃棄物・再エネ規制強化


 2021年7月、静岡県熱海市で大雨に伴い発生した土石流によって27人が死亡した事故を受けて、政府が今国会に提出した「宅地造成等規制法」の改正案が今週にも衆議院を通過する。成立後は23年4月頃の施行に向け関係省庁との調整作業を進め、一方で昨年の全国総点検調査でリストアップされた危険箇所への対応に乗り出す。環境省も廃棄物混入盛土対策の強化に着手する。(表紙に写真)

■農地・森林も規制区域の対象に拡充・強化
 政府は21年8月に熱海市の土石流被害を受け、10府省庁が参画する盛土災害防止関係府省連絡会議(議長;内閣官房副長官補)を設置、盛土災害防止に関する有識者検討会(座長;中井検裕東京工業大教授)で制度改正の検討に着手した。すでに26都道府県が盛土規制条例等を制定済みだったが、施策や基準がマチマチなうえ、是正措置など実効力に乏しいとして、法制化による全国統一の基準・規制を求める意見が、自治体や知事会などから挙がっていた。上記検討会は12月24日に法整備を行うよう求める検討結果(提言)をまとめ、同27日に連絡会議がこれを了承した。
 その後国交省は、農水省と連携して「宅地造成等規制法」の改正案をまとめ、3月1日に閣議決定され、国会提出の運びとなった。改正法案は、「宅地造成および特定盛土等規制法」(盛土規制法)と改称。従来の規制対象を農地や森林等にも広げた。これに伴って、法律の所管を国交省の専管から農林省との共管と変わる。
 改正法案では、国による「基本方針」を策定したうえで、▽隙間のない規制(規制区域と規制対象)、▽盛土等の安全性の確保(許可基準と中間検査・完了検査)、▽責任所在の明確化と危険性の確実な除去(管理責任と監督処分)、▽厳格な罰則――の各措置を講じる。具体的な内容は下記の通り。法案成立後、国交省と農林省は「盛土等に伴う災害防止基本方針」と政省令、基準、法手続きや安全対策・適正処理等のガイドライン策定に入る。

 ◇宅地造成および特定盛土等規制法のポイント
 (1)規制区域…都道府県知事等が盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定。市街地や集落、その周辺など、人家等が存在するエリアについて、森林や農地を含めて広く指定。市街地や集落等からは離れているものの、地形等の条件から人家等に危害を及ぼしうるエリア(斜面地等)も指定
 (2)規制対象…規制区域内で行われる盛土等を都道府県知事等の許可対象に。宅地造成等の際の盛土だけでなく、単なる土捨て行為や一時的な堆積も規制
 (3)許可基準…盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じて災害防止のために必要な許可基準を設定
 (4)中間検査・完了検査…許可基準に沿って安全対策が行われているかの確認のため、施工状況の定期報告、施工中の中間検査、工事完了時の完了検査を実施
 (5)管理責任…盛土等が行われた土地の所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有することを明確化
 (6)監督処分…災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても是正措置等を命令。当該盛土等を行った造成主や工事施工者、過去の土地所有者等も原因行為者として命令の対象になりうる
 (7)罰則…抑止力として十分機能するよう無許可行為や命令違反等に対する懲役刑、罰金刑を引上げ。個人は懲役3年以下、最大罰金1000万円以下、法人は罰金最大3億円などの高い水準に強化


(以下については本誌2672を参照ください)



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…保坂長官、安全保障と電力需給逼迫など激動のエネルギー情勢変化への対応強調…

クリーンエネ戦略、国際情勢激変で構造転換明記へ


 官邸主導で今年6月に策定を目指す「クリーンエネルギー戦略」には、ロシアが引き起こしたウクライナ戦争によるエネルギー安全保障問題や国内の電力需給逼迫など、直近の激動するエネルギー情勢への対応を組み込む方針だ。戦略策定の中心となる経済産業省は、中長期の脱炭素に向けた移行と同時に、短期間で脱ロシア依存を実現する戦略を早急に検討する。

■石油ショック時以来の大胆な構造転換必要と
 経産省は4月14日、クリーンエネルギー戦略検討合同会合(座長;白石隆・熊本県立大理事長)を開いた。会合ではエネルギー安全保障、安定供給確保に向けた政策の方向性を整理した。
 事務局はウクライナ危機の長期化を見据え、エネルギー安全保障の確保が諸外国でも改めて重要課題に浮上していると説明。欧州は短期的にロシア依存を急速に低減させ、ガス供給先の多角化、原子力の有効活用などを進める方針という。国際的な資源・エネルギー価格高騰と円安進行によるエネルギーコストの負担増が当面は継続するとの認識の下、我が国においても石油ショック時以来の大胆な構造転換を進める必要があると指摘した。
 なかでも日本と欧州連合(EU)は、資源保有国である米国、カナダや安定した一次エネルギー自給率を確保できている英国とは異なり、状況が深刻との危機感を示した(次頁表)。日本とEUは脱ロシア依存を早急に進める必要があり、これまで以上にエネルギーコストの上昇を前提にせざるを得ない。ただ会合では、コスト上昇をできる限り抑制する政策の総動員が必要との共通認識も示された。

■保坂長官、直近のエネルギー国際情勢を分析
 保坂伸資源エネルギー庁長官は同日の会合で、「今回のウクライナ危機は炭素税もそうだが、平時は価格に出てこないエネ安全保障リスクが突然発生、化石燃料の価格へ反映されていると理解してほしい」と強調した。
 また、「石油、石炭、天然ガスの中で、世界的に供給体制で一番ゆとりある化石燃料は石油だ。世界的に供給は足りているが、WTIなどの原油市場価格が1バレル当たり100ドルを超えているのは金利・株価の上昇が重い上に投機資金が原油市場へ流れ込んでいるから。100ドルを挟みその前後5%で揺さぶられながら投機筋が儲け続けている状況だ。原油価格を下げるには増産余力のある中東諸国の協力が必要だが、産油諸国は市場への影響を維持するため、OPECにロシアなども加えたOPECプラスの枠組みを優先していることから、なかなか増産には応じない」との認識を示した。
 一方で保坂長官は、石炭価格の高止まりは脱段素の影響が大きいとも指摘。豪州やインドネシアなどの資源国は石炭増産の余裕があるものの、世界的なESG金融の影響で供給体制強化へのファイナンスがつかない。そうした状況下で、ドイツは国内のCO2を増やしてまで石炭回帰を進めている。しかし、脱石炭を進めてきていることもあって、短期に国内の石炭供給体制を回復させるのは相当困難だという見方を示した。




(以下については本誌No.2672をご参照ください)


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池辺電事連会長、「不確実性に備えた供給力確保」指摘(電力・ガス)

国交相、建築物省エネ法改正案を今国会提出へ(地球温暖化対策)

自民党温対調査会、CN相新設など脱炭素加速提言(地球温暖化対策)

20年度CO2排出量、コロナで13年度比21.5%減(地球温暖化対策)

環境、経産など4省合同の再生エネ導入検討会開催(省・新エネ)




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