7月1日付で人事異動が発令された上田康治事務次官ら環境省幹部の共同会見が4日、行われた。上田氏のほか秦康之大臣官房長、白石隆夫総合環境政策統括官、関谷毅史地球環境局長、大森恵子水・大気環境局長、堀上勝自然環境局長、角倉一郎環境再生・資源循環局長、小田原雄一環境再生・資源循環局次長が脱炭素化とGX、自然再興、資源循環など重要課題への対応を語った。なお、経済産業省は幹部就任会見を実施していない。(略歴は2829既報)
上田次官:分かりやすいメッセージの継続発信
事務次官に就任した上田康治氏は「現在の施策の柱は持続可能な社会づくりと人の命と環境を守るという二つの柱であり、そうした路線をしっかりと堅持し、さらに一歩進めるように頑張っていきたい」と基本姿勢を指摘した。前者については、「頑張る人だけが取り組むというモデル事業的なものではなく、次の段階に進展し普遍化していかないといけない。今まで関心のなかった多くの人にも参加してもらうような行動変容を起こすことでカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブを必ず実現できる」と語った。
施策を普遍化させるためには、環境省が何をやろうとしているかの明確なメッセージを国民に発信していく必要があると強調。環境省は多くの審議会で報告書をまとめている。その報告書や答申のポイントはどこで具体的にどうしていきたいかを短い言葉でわかりやすく伝えることで、多くの国民や事業者の協力を得られるはずという。
例えば脱炭素先行地域制度を挙げる。まず先行地域を100ヵ所つくり、それを拠点にして全国に脱炭素ドミノ現象を起こすのを目的としている。そろそろその脱炭素ドミノとは何かを分かりやすく示す時期と指摘。そうすることで参加企業のビジネスチャンスや自治体として進むべき姿が明確に見えてくる。あらゆる関係者がいろいろ創意工夫して環境省が思っている以上の効果を出すことができるとの期待感を示した。ちょうど100ヵ所選定というゴールが見えてきた今の段階で、関係者によるさらなる創意工夫された脱炭素ドミノを示すことにつながり、26年度概算要求に向けそうした新たな予算獲得に連動させたいという。
一方で、米国トランプ政権による相次ぐ化石燃料利用推進や気候変動対策の大幅後退にも言及。「これにも分かりやすい我が国からのメッセージが大事。日本はこれまでの方針を堅持して進めていくという揺るがない基本方針を国内外に継続して発信していく」と強調した。
新次官の指摘する「分かりやすいメッセージ」はその通りだが、最近環境省の重要な発信もので特に目立つのがカタカナ語や英語表記の乱発だ。分かりやすさの出発点は何よりも言葉の意味の理解が先だろう。カタカナ語の不得意な高齢化社会の下で一見かっこうよい英語的表記の乱発は一日も早く是正して欲しいものである。
(以下については本誌2830をご参照ください)
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