政府は脱炭素型の産業構造に転換する地域を支援する「GX戦略地域」の選定施策を進めている。GX戦略地域づくりはGX2040ビジョンに掲げた目玉施策の一つで、脱炭素電源の有効活用をテコに国内外企業の投資を呼び込みGXとDX事業化を進める。グローバルな競争力を確保して、地方活性化にとどまらず日本経済の牽引役も担う。
政府は公募を検討する自治体や企業からの提案募集を8月26日に開始、早期に公募を開始する予定だ。またGX戦略地域に関連する支援策を26年度概算要求に盛り込む方針を固めた。
コンビナート跡地にGXスタートアップ集積
GX戦略地域では、「データセンター(DC)集積型」と「コンビナート等再生型」の選定要件を具体化。内閣官房が8月26日に開いたGX実行会議の会合において、公募に向けた選定要件が決定された。DC集積型はDCを再生可能エネルギーや原子力発電などの脱炭素電源に近接した地域に集積させ、脱炭素と産業進出を両立させる。電力需要の大きなDCなどを脱炭素電源の近くに配置することで、送配電網への負担軽減やエネルギー利用の効率化を進める。具体例では、ブラジルのリオデジャネイロ市西部ジャカレパグア地区において世界最大級とされる300万kW級DC整備構想「リオAIシティ」の建設が進められている。
コンビナート等再生型はコンビナート跡地などの広大な固定資産を活用し、スタートアップ等の成長企業を集積させて新規産業を創出する。既存インフラを活用しながら新規産業創出の拠点とすることで、成長産業の振興とサプライチェーンの安定化・高度化を目指す。具体例としては山口県宇部市の山陽小野田コンビナートがあり、24年の石油精製工場の停止、28年生産終了予定のグレーアンモニア(化石燃料を原料として製造されるアンモニア)プラント閉鎖を踏まえて再生を図る。既存の石油・化学産業のインフラや遊休地などを有効活用し、新たにクリーンなアンモニア供給拠点など、GX分野のスタートアップ企業の集積を目指す方針だ。
(以下については本誌2836をご参照ください)
|