政府は2024年1月に長期脱炭素電源の初入札を実施する。入札に参加する発電事業者は10月16日から参加登録が始まる。同入札の実施主体である電力広域的運営推進機関は、初入札の実施に向けて着々と準備を進めている。
■脱炭素電源の固定費、原則20年間収入保証
長期脱炭素電源入札は脱炭素電源への新規投資を促進するために新設する入札制度。具体的には、あらゆる脱炭素電源を対象に入札を実施して、落札電源の事業者は発電所運転で生じる固定費水準の収入を原則20年間得られるようになる。今後想定される水素火力等の発電所建設に要する巨額の初期投資を、長期間一定の収入を保証することで、発電事業者の先行投資判断を容易にさせる。ただ、運転開始後は卸電力市場や非化石市場等から得られた収入の約9割を還付するとしている。
対象電源は発電・供給時にCO2を排出しない新設・リプレースの水力や揚水、アンモニア火力、水素火力、原発、蓄電池、太陽光発電(PV)や風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー発電所だ。再生エネの場合はFIT、FIP制度との併用はできない。原発については、既設分の安全対策費も支援対象となり、既設火力の脱炭素化改修に対する新規投資も対象となる。23〜25年度は将来的に脱炭素化することを前提としたLNG専焼火力も含まれる。CCS火力は現時点では応札が想定されないことから、初回入札では対象外とした。対象電源の設備容量は電源種別に応じて1〜10万kW以上となる(表1)。例えば、蓄電池ならば1万kW以上、新設の水素火力ならば10万kW以上だ。
(以下については本誌2743をご参照ください)
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