週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

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No.2729.6.22




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…JOGMECが初の国内5ヵ所、海外2ヵ所選定。不透明な炭素価格付けがネック…


脱炭素CCS事業本格化へ、7件地域に加え20以上で実施


 経済産業省は「技術的に大変。処理システムのコストが高い」という一方的なイメージ先行だった我が国のCC(U)S(CO2の吸収・運搬・貯留)事業を払拭して、2030年までに国内外20ヵ所以上の実現を本格化させる。同時に、今後の脱炭素化対策の切り札とする方針だ。
 西村康稔経済産業相は13日の閣議後会見でその第一弾として、国内外から「先進的CCS事業」の候補地に北海道・苫小牧地域など7案件(エネルギー・金属鉱物資源機構=JOGMECが同日発表)を選定したことを公表。30年までの事業開始に向け、事業環境の整備と支援を進める方針を明らかにした。当面はCCS事業法の新法制定などの関連法を早ければ次の臨時国会に提出、CCS長期ロードマップ(23年5月)策定後の「CCS行動計画」を今秋までに急ぐ方針だ。

貯留の場所は未定、地層等調査後に最終決定
 CCS事業化の候補地として今回JOGMECが決定した7案件は23年度予算に計上されていた「先進的CCS事業の実施に係る調査:約35億円」の実施エリアを選定したもので、候補地の最終決定は今後の海底地質調査や地元調整などの結果により2〜3年後に決める。候補地となった調査5案件は国内全域のCO2多排出集積地を念頭に北海道苫小牧、日本海側は秋田県を中心に油田があった東新潟、茨城・千葉県を中心とした首都圏、瀬戸内・九州の排出源をカバーする九州北部沖〜西部沖の地域エリアが選定された(次頁)。
 ただ、今回の選定地域は主要な排出源と地理的なイメージを示しているだけで貯留地の場所までは特定していない。今後JOGMECによる海底地質調査や安全性の確保、地元調整などを踏まえ、2年を目途に最終決定する方針だ。この間にCCS事業化法などの創設をはじめ10本余と目される関連制度の整備が行われる必要もある。
 また今回の候補地選定ではマレーシアと大洋州の2ヵ所が海外分として選定された。いずれも衰退している海域の油ガス田を活用するものだが、経産省が別途推進中の「アジアCCUSネットワーク」(ASEAN10ヵ国+豪・米・日が加盟)の活用や、環境省が推進中の「JCM事業」(二国間クレジット)の対象に加えることを検討中だ。
 いずれにしても、CCS調査事業の委託を受けているJOGMECは今後のモニタリング調査を踏まえて貯留地候補の試掘調査、海洋生物等への影響を集約して最終決定する方針。候補地の選定は24年度も実施する。


(以下については本誌2729をご参照ください)



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…環境省、PFOS・PFOA対策強化を検討、大規模健康調査を求める声も…

有機フッ素化合物へ対処方針案・環境基準化も念頭に


 米軍基地や工場周辺など各地の公共用水域・地下水で検出が続く有機フッ素化合物(PFAS)への対応策を検討している環境省の「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」(座長;平田健正和歌山大名誉教授)が6月15日に開かれ、「今後の対応の方向性案」と住民向けに作成中の「PFOS・PFOAに関するQ&A集(案)」が示された。ただ、会議では人への健康影響等に関する異論が出され、取りまとめは次会合に先送りされた。

■全国に拡がるPFAS汚染、欧米は規制強化へ
 検討会は、東京・横田の米軍基地周辺や沖縄など水道水源等で高濃度での検出が続くPFOS・PFOAなどへの取組方針を検討するため、今年1月30日に設置された。

 ◇PFOS・PFOA類とは…PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)・ PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は有機フッ素化合物の一つ。化学的に極めて安定性が高く、水溶性かつ不揮発性物質のため環境中に放出されると水系に移行しやすく、難分解性のため長期的に環境に残留するとされる。POPs条約への指定に基づき、化学物質審査規制法の製造・使用禁止対象物質に指定。撥水性と撥油性を併せ持つためPFOSは泡消火薬剤、半導体、金属メッキ処理などに使用されていた。このため水環境中への排出源となるのは、米軍基地関連のほか、これら製品製造や保有、使用施設と、これらの製品を処理した廃棄物処理施設や排水処理した下水道処理施設などが想定される。

 検討会ではこのPFOS・PFOA類と追加指定が決まった「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)とその塩、関連物質」のほか指定予備軍を含めてPFAS全体への対応を念頭に、国内外の動向や国内における検出状況などを集約してきた。特に沖縄や横田等の米軍基地ほか上述の関連工場周辺での検出が問題視されている。
 一方、国内におけるこれら物質の水質関連の規制状況に関しては、PFOS・PFOAともに水道水質目標値(暫定)および公共用水域・地下水の要監視項目指針値(暫定)が設定されており、2020年に同省が策定した自治体向けの「手引き」においては、「50ng/l(PFOSおよびPFOAの合算値)」とすることが明記されている。海外では、米国が規制値の厳格化(各4ng/l:分析限界値)、欧州はPFAS合算値で500ng/lとの設定を検討中という。



(以下については本誌2729をご参照ください)


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