今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

再生可能エネルギー立国に向け全力投球
2018/01/15(Mon) 文:(山)

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中は「創省蓄エネルギー時報」をご購読いただきましてありがとうございます。本年も創エネ、省エネ、蓄エネに関するニュースや解説に全力で取り組む所存でございます。引き続きのご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
 さて、本年は江戸幕府が倒れ、明治政府が発足してから150年の節目に当たります。西洋文明が流れ込み文明開化≠ェ始まりました。その象徴の一つが電灯です。1882年に東京・銀座に電灯(アーク灯)が灯りました。1886年に東京電灯(東京電力の前身)が開業するなど、電力会社が各地に設立され、発電を開始しました。
 当初は小規模の火力発電所が各地にありましたが、日本の電力は水力中心の「水主火従」でした。それが1960年代前半から「火主水従」に移行しました。1963年に茨城県東海村に動力試験炉が建設され、ここから原子力発電が始まりました。その後は火力、原子力、水力による電力供給が続いてきました。
 1973年に第1次オイルショックが発生、政府は1974年にサンシャイン計画で再生可能エネルギー開発に乗り出しました。温室効果ガスの排出による地球温暖化が深刻化したことも再生可能エネルギー普及政策に拍車をかけました。さらに2011年3月の東日本大震災で福島第一原子力発電所が過酷事故を起こして原発が停止し、2012年7月に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を設けました。
 弊誌は2010年10月に「時報PV+」として創刊、本号が154号になります。この間、再生可能エネルギーによる発電、省エネ、蓄電池、水素エネルギーの利用などの技術開発、普及に関する報道を続けてまいりました。ただし日本の再生可能エネルギー普及は諸外国に比べ、遅れているのが現状です。再生可能エネルギー装置・関連機器ビジネスでも海外の後塵を拝している部分もあります。
 弊誌は今年も再エネ・省エネ・蓄エネの普及拡大、そしてそれらの関連産業の隆盛を目指し、全力で「創省蓄エネルギー」の報道に取り組んでまいります。




「たまには停電も」は愚かな発想か?
2017/12/25(Mon) 文:(水)

 12月7日。自民党本部で「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の会合が開かれ、全国的にネックとなっている電力会社の送電線に再生エネ電源をつなぐための新たな方策が熱心に議論された。講師役の有識者は、大きな焦点となっている東北北部4県の主要幹線の利用率を分析した結果、「実際の送電量は全体容量の20%以下に過ぎない。高速道路に例えるならば、中はガラガラにすいているのにゲートで多くの車両がまだかまだかと待っている状態だ」と指摘した。
 しかし東北電力からすれば、送電系統の空き容量計算には▽万が一の設備トラブルと事故への対応(安定供給)、▽建設予定電源からの仮押さえ(先着優先)、▽系統に接続する(予定含む)全電源が同時に定格出力になることを前提――など、一定のルールで運用しているとなる。
 ここでの問題は、送電系統でも絶対条件とされている「安定供給」の考え方だ。確かに気象条件に左右される太陽光発電や風力発電は、そのシステムにアクセルはあってもブレーキがないといわれ、系統につながれる電気は日中の負荷変動が激しい。このため、停電を起こさない「安定供給」の措置として、全ての電源が最大(定格)出力になる状態、送電系統のトラブルや自然災害などに備え、一定割合の空き容量確保が必要になるという。
 これに対して、有識者は過去の潮流実績やトラブル発生の確率からみても、あまりにも過剰スペックの要求であってそのことが電力システムのコストを押し上げ、ひいては託送料金の高止まりとわが国の高い電気料金の要因になっていると強調する。欧州では10年に1回の大停電発生を予め組み込んでシステムを構築、過剰スペックを避けていると話す。
 43年前、豆腐屋の作家と言われた松下竜一氏(故人)が「暗闇の思想」という本を書き、便利すぎる現代文明に警鐘を鳴らしたことがある。元来、分散型である再生エネの活用は最小限の需要を賄うための電源であり、ある程度の不安定さを社会全体で受け入れ、10年に1回程度の停電があってもよいのではないか。停電が起こった日はローソクを囲み、来るべき大災害への備えや日ごろ不足がちな家族団らんの日と決めて、電気という文明の利器に感謝するというのは愚かな発想だろうか。




「悪の枢軸」とまで言われた日本
2017/12/07(Thu) 文:(水)

 11月18日に閉幕したドイツ・ボンの国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)で、環境NGOが表彰する特別化石賞に米国政府、化石賞には日本政府が昨年に続いて選ばれ、今回もかつての「環境立国日本」はその面影すらなかった。会場では「日本は悪の枢軸か」とまで批判され、ある参加者は顔色を失ったという。
 これは民間企業人の話だが、国内で具体化中の約2000万kW規模の石炭火力新増設計画と東南アジアへの石炭火力輸出ビジネスが痛烈に批判されたものだ。海外から見れば、ようやく先進国対途上国の対立を乗り越えてパリ協定の詳細設計をつくるところまで漕ぎつけたのに、自分の国の利益のみを重視して今後40年も大量のCO2を排出し続ける石炭火力を新規につくるということを正気で考えているのか、ということになる。欧米でも既存の石炭火力の稼働は多いが、今はその比率をどうやって減らすか国を挙げて議論している最中なのに、ということもある。
 今回のCOP23会議の前後では二人の国際的な賢人の発言が目を引いた。一人は国際移住機関のスウィング事務局長であり、「地球温暖化の進行に伴い海面上昇などから住んでいる場所を追われる“環境難民”が顕在化している」(18日付け毎日新聞)という指摘で、そうした地域としてアフリカ・サハラ砂漠の南縁とキリバスなど南太平洋の島国をあげていた。
 もう一人はCOP23直前に来日した環境活動家のアル・ゴア米国元副大統領だ。「不都合な真実」パート2の日本上映に合わせて訪日したが、インタビューに答えた話が印象的だった。曰く、▽気候変動問題は20年前の京都議定書が採択された状況とは激変した(環境難民の発生などを指す)、▽安価なコストの風力や太陽光発電、蓄電池という具体的な解決策が出てきた――などを指摘し、あとはそれらを政治がどう選択するか、決して手遅れではないとも語った(18日付け朝日新聞)。
 日本ではCOP23の直前に主要国の国会議員らが集まって議論する「地球環境議員連盟」(GIA)の総会が開催されたが、国際的な石炭火力への批判を恐れてか会議の中身や総括が一切公表されていない。COP23では「脱石炭に向けたグローバル連盟」が創設されたが日本は参加を保留している。「悪の枢軸」とまで言われた環境後進国を払拭できるか正念場である。



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