今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード

「低CO2化」への移行、今を生きる私たちの責務だ
2021/02/16(Tue) 文:(山)

 地球規模の気温上昇が起こる地球温暖化の原因は人間の活動による温室効果ガスの増加と考えられている。いろいろな温室効果ガスがあるが、中でも二酸化炭素(CO2)はその筆頭で排出削減が求められている。「気候変動に関する政府間パネル」は第5次評価報告書で、このままでは 2100年の平均気温は温室効果ガスの排出量が最も多い最悪のシナリオの場合には最大4.8℃上昇するとしている。
 日本は1年で最も寒い時期で、かつコロナウイルスとの戦いが続いている。地球温暖化どころではないかもしれない。こんな時にでも子供たちや生まれてくる赤ちゃんにとって、CO2排出量が少なく気候温暖で安全かつ楽しく暮らせる未来を考えることが重要ではないだろうか。
 そのためのCO2排出削減のひとつは自動車燃料の改善である。現在、ほとんどの自動車がガソリンを燃焼させて走っている。その燃料は炭素と水素である。炭素と水素に酸素を加えて圧縮し、点火・爆発させて回転エネルギーとして自動車を動かしている。爆発によって、一酸化炭素や炭化水素、窒素化合物、二酸化炭素などが排気ガスとして出てくる。近年ではほとんどの自動車に触媒が設けてあり、こうしたガスが大量に車外には排出されないといわれるようだが、どうだろうか。排気ガスゼロの自動車が増えるといいのだが……。
 さらに問題はガソリンの税金である。ガソリン価格の半分近くが税金でもっていかれている。日本には優れた自動車メーカーがたくさんあるので、ぜひ、環境に負荷をかけない、かつ安全で税金のかかるガソリンを使わない自動車をどんどん作り出していただきたい。
 本号の特集は「トランジションとコージェネ」です。トランジションとは「移行」という意味で、ここでは着実な低炭素化、脱炭素化への移行ということになります。コージェネはコージェネレーションシステムの略で、排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高めるエネルギー供給システムです。
 自動車に限らず、化石燃料を使っている企業や役所、家庭なども含め、私たちは自分自身、そして次代を担う子供たちのためにも、着実な低CO2化への移行「トランジション」に取り組む必要があるのではないだろうか。




コロナ時代にも不可欠な脱炭素社会づくり
2021/02/02(Tue) 文:(水)

 2021年元旦の富士山はいつもの濃いブルーがかった頂上部分が幾重もの白い帯に覆われて堂々とたたずんでいた。山頂部分では風が尾根に巻き込こまれ、烈風の嵐になっている様子もなんとなく見える。いつも感動するのはそのきりっとした姿が、人々の生活の徒然をすべて受け入れる懐の奥深さと勇気を与えてくれるような優しい山容だ。実は小生の住んでいる所は東京多摩地域の多摩川沿いで、天気の良い日は場所によっては高台から富士山の山頂部分がよく見える。
 しかし日本の年末年始の風景は様変わりした。新型コロナウイルス感染の拡大を防ぐため恒例のご来光を拝むための終夜電車運行も中止となり、初詣も密を避けるとして自粛や一定の距離を保つ対応が普通になった。こうした社会現象はコロナウイルスの特異性からこの2〜3年続く可能性が高く、それに我々がどこまで耐え、一方で従来の社会経済構造をどうリデザイン(再設計)して新たな生活様式を生み出していくかが試されている。
 コロナ感染の発生と現在の気候変動被害の深刻さは同根という指摘がある。端的に言えば、両方とも自然環境への容赦ない侵蝕とあくなき経済の拡大至上主義がもたらした結果ということになろうか。今日社会のリデザインは小泉進次郎環境相が昨年後半に環境政策展開の柱として打ち出したものだが、今年はそのために地方の自治体や一定のコミュニティエリアにおいて「ゼロカーボン共同体」を試行的に構築していく具体的な施策展開を明言している。例えば長野県を筆頭に長崎県の壱岐市、岩手県の軽米町や福井県の大野町などだ。
 菅義偉首相は「2050年までにカーボンニュートラル」を実現する方針を示し、政府も政策総動員の対策を進めているが、小泉環境相の考えは30年先を待たずこの5〜10年の政策展開が目標実現を左右するとして、ミニ脱炭素社会の前例をつくるという。ただ、そこで追求してほしいのは従来のような外々に向けた経済の拡張主義ではなく、家族団らんや地域資源の再発見など内々に埋もれていたハッピー資源を再発掘することであろう。
 異常事態の新年ではありますが、本年も引き続きよろしくお願いいたします。




2兆円という「脱炭素社会経済」への手切れ金
2020/12/25(Fri) 文:(水)

 2020年のわが国は地球環境問題への対応で歴史的1年となった。菅義偉首相は10月の国会で「2050年までに全体としてカーボンニュートラルを実現する」と歴代首相として初めて宣言、あらゆる経済社会活動を変革していく方針を示した。国会もこれに呼応、衆参の全会派一致による「気候非常事態宣言決議」を採択、政府と国民に対して対策強化を強く求めた。30年先とはいえ、これからの国民生活に重大な影響を与えるこうした方針を霞が関が多用するカタカナ語で提示したのはいただけないが、現代版経済社会革命のスタートといっても過言ではない。
 では「脱炭素社会」とはどんな世界か。今は電気の7〜8割を化石燃料によって発電しているが、これを太陽光や風力などの再生可能エネルギーなどに転換するとともに、製鉄所や化学工場等の熱利用も電化と水素などに変え、自動車など移動機関もガソリンなどの車がなくなることを意味する。すでに欧米諸国が先行しており、2030年代に石炭火力の廃止やガソリン車の販売禁止措置、また50年までにゼロカーボンの実現を公約した国がすでに121ヵ国に上っており、わが国は後塵を拝している。
 今年のトピックに、スポーツ界ではプロ野球日本シリーズで巨人がパ・リーグ覇者のソフトバンクに完敗、しかも昨年の日本シリーズから同じチームに8連敗するという不名誉な新記録をつくった。その負け方もひどかったが、ある野球評論家は「パ・リーグの選手は大方の投手が投げる150キロ台の速球に目が慣れているが、セ・リーグの投手は大半が140キロ台のためそうした違いから巨人の打者は打てなかったのではないか」と分析していたのが印象的だった。
 つまりセ・リーグ全体の平均的な実力が落ち込んでいたにも関わらず、巨人はそのことに戦うまで気付かなかったということだろう。いわばセ・リーグ全体がガラパゴス化していたわけで、それは気候変動対策で欧米に後れをとっているわが国の現状と共通している。政府はそうした温暖化対策の推進を抜本的に強化すべく、追加経済対策の柱に再生エネや水素利用の実装化、カーボンリサイクルなどに2兆円を充てる「脱炭素化基金」の創設を決めた。これが化石燃料に対する“手切れ金”となるかどうか注目されよう。大変な一年でした。来年こそ良き一年となりますように。



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