今月のキーワード エネルギージャーナル社

今月のキーワード
[過去139〜154 回までの今月のキーワード]


「脱炭素化社会づくり元年」に遅れるな!
2017/01/19(Thu) 文:(水)

 2017年の国際社会は、「化石燃料」に別れを告げる「脱炭素化社会づくり元年」になる可能性が大きく、それに向けた経済活動やビジネス展開が激しくなりそうだ。昨年11月、全ての国が地球の温暖化を食い止めるための国際的な枠組み「パリ協定」が発効、2020年以降の温室効果ガス(CO2等)を大幅に削減する具体的な措置を講じる必要がある。わが国はその削減目標として2030年に△26%(2013年度総排出量比)を決定しているものの高い目標とは言えず、ましてパリ協定が最終目標とする2050年以降に現状からの「△80%削減」では政府方針の腰がまだ定まっていない。かつての「環境先進国」としての面目は消え失せている状況がある。
 一方で、日本を代表するシンクタンク・三菱総合研究所の小宮山宏理事長(元東大総長)は、「わが国は中長期目標とされたCO2等の80%削減を達成できる」と断言する(「エネルギーと環境」の1月5日号)。その根拠は概略、▽年平均1.6%減となっているエネルギー需要の減少と省エネ指向、▽買い替えるたびに顕著な自動車の低燃費化や建物・住宅等の高断熱化、▽太陽光発電など再生可能エネルギーの飛躍的増大、▽エネルギー多消費型産業の停滞、▽ものの飽和状態――などを指摘する。これら根拠は単なる推測ではなく、現象ごとのデータと過去のトレンドを研究者としてきっちり積み上げたものだ。
 対して、検討中の経済産業省の審議会はこうした見方に否定的な見解が主流であり、拙速な対策強化は経済成長の足かせとなる、国内よりも海外でのCO2削減対策の具体化が効果的として、まずは革新的な技術開発に期待をつなぐ対策を打ち出そうとしている。安倍政権が最重点とするアベノミクス経済政策のブレーキにはしたくないとの配慮が読み取れる。しかし世界的な脱炭素化に向けたビジネスの潮流は急速であり太い。欧米や途上国での導入が加速度的に進む再生エネルギーから供給される電力価格は、化石燃料系発電を遥かに下回る水準までに達しているという。また国内では大手電力会社による石炭火力の新増設計画に伴う投資資金確保が困難になりつつあり、洋上風力発電計画への変更を検討しているところが相次いでいるようだ。時代の変化は早い。
 本年も読みごたえのある雑誌を肝に銘じて頑張りますので、よろしくお願いいたします。



バイオマス発電の新たな輸入燃料問題
2016/12/19(Mon) 文:(K)

 再生可能エネルギーによる電気の固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電の設備認定が390万kWあり、一般木材系を中心に原料予定量の合計は1365万tである。国内では到底賄いきれず、海外からチップ、ペレットとアブラヤシ核殻(PKS)の導入が始まっている。そして加えて食用パーム油を輸入し発電する事業も登場してきた。燃料バイオマスの輸入は何のためのFITなのか疑問なのに、食料と競合のバイオ燃料輸入が地球環境問題に対応した発電事業に貢献するとはとうてい思えない。発電規模を大きくして効率を上げ、燃料は海外から輸入するのでは化石燃料を輸入し、大型火力発電を動かす資本の流出と同じであり、まして食料と競合するようなバイオ燃料の輸入は多いに問題ありと言わざるを得ない。
昨年12月とこの10月、茨城県で1万5000kW、2万3000kWのバイオマス発電所(ディーゼル発電)が運開した。太陽光発電を進めていた企業が新たにバイオマス発電事業へ進出、燃料はほとんど輸入パーム油である。同社は「商社を通して調達している」と安定供給を指摘する。このほか和歌山県で11万kW(年間20万t程度のパーム油輸入)の計画も上がっている。
 FITの買取価格は木質バイオマスが1kWh32円、24円、13円、PKSは農産物の収穫に伴って生じるバイオマスとして24円が適用される。パーム油は食用の農作物であり、生産するマレーシアとインドネシアでは森林減少や生物多様性問題などの環境問題を抱えているという。パーム油には現在、可能性基準もなく、何よりも食料と競合する恐れが十分なのだ。
 液体バイオ燃料の供給で石油業界は17年に50万葦をブラジルなどから輸入しているが、食料との競合に十分配慮、ガソリン比で温室効果ガスGHG削減量50%以上である用件を満たすことを求めている。バイオジェット燃料向けなどにバイオ液体燃料を開発するハイテク日本企業の原料は草本系である。世界的に食料と競合する農作物原料のバイオ燃料は縮小傾向だ。
 FIT制度でのパーム油発電だと20年間は供給し続けることになる。バイオマス産業社会ネットワークも指摘するように、パーム油は環境・社会面で多くの課題を抱える農作物であり、現在の制度的には利用可能だが、食用パーム油発電は持続可能性に反する、FIT対象にはなり得ない燃料と言わざるを得ない。国は17年度以降のFIT価格の見直しで、バイオマスに発電規模で出力2万kW以上に新区分を設け、売電価格を下げる検討に入った。FIT制度が火を付けたパーム油を含む輸入バイオマスについては適正な導入のあり方が問われる。



 トランプ米次期大統領−経済人としての眼力に期待
2016/12/09(Fri) 文:(一)

 想定外の事態――。世界が注目する米大統領選で、民主党オバマ現大統領の温暖化対策を真っ向否定してきた共和党トランプ候補が勝利した。二者択一の選挙で、これほど波紋を広げた“想定外”の結果はかつてない。折しも大統領選が行われた11月8日は、国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)の開幕翌日。オバマ大統領の意を受け、モロッコで会議に臨んでいた米政府代表団のショックは想像に難くない。
 次期大統領に決まったトランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)に加え、昨年のCOP21で採択された地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」からも脱退する意向を表明していた。選挙前には「気候変動はでっちあげ」、「気候変動枠組み条約事務局への資金拠出をやめる」などと過激な発言を連発。気候変動に懐疑的な共和党の中でも急先鋒だった。
有権者に「ストロング・アメリカ・アゲイン(再び強いアメリカを)」と訴えてきたトランプ氏は雇用拡大もにらみ、エネルギー自給率100%を目指している。オバマ氏の看板政策で事実上、石炭火力排除につながる発電所の二酸化炭素(CO2)排出規制強化策「クリーンパワープラン」は廃止が濃厚だ。米国の石炭産業は息を吹き返すことになる。
 ただ、すでに米国が批准した国際条約であるパリ協定からの離脱は、内政とは次元が違う問題だ。同協定の規定により批准国は発効後3年間、脱退を通告することができず、通告が効力を発揮するのは1年後。トランプ政権が2期目に突入するかどうかは別として、1期目の4年間はほぼ締約国としての義務を負う。
 パリ協定は各国の自主的な取り組みを前提にしており、中国に次ぐ温室効果ガスの排出大国である米トランプ次期政権の姿勢が大きく影響する。主要排出国として米オバマ政権と歩調を合わせ、批准の先陣を切った中国の動向も左右しかねない。だが、中国政府は選挙結果を受け「我々は自国で決めた目標に向かって温暖化対策を進めていく」と会見で表明。先進各国の首脳もこぞって自制を促し、トランプ氏は冷静に現実を見始めたようだ。
 トランプ氏は経済人。脱炭素社会の実現をビジネスチャンスと捉える先進的な企業は米国にも多数ある。物事の本質を見抜く眼力に期待したい。



電力の拒否反応強く、低迷する原子力再編論議
2016/11/21(Mon) 文:(水)

 経済産業省が最重点課題として進めてきた電力改革の仕上げ措置を検討するための第三者機関として「電力システム改革貫徹のための小委員会」が9月に設置され、集中的な審議を行っている。委員会の名称に、霞が関の世界では珍しい労働争議などで多用される「貫徹」という用語をわざわざ使ったところに政策当局者の危機感が表れている。
 一連の電力システム改革は2020年を目途に現在の大手電力10社の一貫経営体制(発電・送電・小売りの各事業。東京電力を除く)を法的に分離。電力会社間および他のエネルギー企業との連携・統合・再編を促す「総合エネルギー企業化」が最終ゴールとみられている。
 もう一つ、10月に経産省が経済界の重鎮を委員にして立ち上げた「東京電力改革1F問題委員会」がある。1Fとは福島第一原発を指し、2011年におきた事故対応として賠償等が現在進められているが、その費用は廃炉等を含めると優に10兆円を超えるとみられており、財務会計上それを負債として一括認識すれば東電はたちまち経営破綻に追い込まれる。このため東電の経営破綻を回避させ、同時に20年に向けた電力10社の提携・統合・再編の道筋をつけるのが、先の委員会のミッションとみられている。
 特に原子力事業については、各社とも再稼働見通しが目算よりも遅れているのに加え、新規制基準対応のための多額な投資と廃炉費用、中長期的な原発縮小方針による組織・人員の余剰化などから、各社の原子力部門を統合して1〜2社体制にという経産省の考えもある。そのためにまず東電の原子力部門を中部電力や日本原子力発電などと提携、さらに全社的な統合に発展させ、場合によっては原子力のみならず10社全体の再編・統合を実現するというシナリオだ。しかし電力業界には拒否反応が強く、政策当局の意図が空回りしている状況にある。その理由としては、せっかく前に進みだした原発再稼働の手続きに余計な問題を抱えたくないとの思いのほか、東電と提携しても1Fの負の遺産対応リスクが大きいこと、仮に提携・統合したとしても、それによって収益増大を生み出すようなエンジン役を果たす材料が見当たらないなどがある。年末までに一定の方向性を示す予定の原子力再編論議の帰すうが見ものだ。



環境先進国のスタンスを貫け
2016/11/08(Tue) 文:(一)

 7〜18日にモロッコ・マラケシュで、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第22回締約国会議(COP22)が開かれる。昨年末のCOP21で採択された地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」は主要排出国の米中やインド、欧州連合(EU)が早々に批准したことで要件を満たして4日に発効、COP22で閣僚級会合が始まる15日から第1回締約国会議(CMA1)が行われる運びだ。日本は批准手続きが間に合わず、オブザーバー参加となる。
 日本が出遅れた格好になってしまったことに対し、批判の声が上がっている。当初、EUが域内国の手続きを待って批准書を提出する方針だったため、発効は2017年以降とみられていた。今臨時国会中に承認手続きを済ませる方針だった日本政府にとって、想定外の急展開だった。
 5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)では日本が議長国を務め、首脳宣言にパリ協定をレガシー(遺産)としたい米オバマ政権の意を汲んで「16年中の発効に向けて努力する」と掲げた。国際情勢の変化を読み誤り、環境先進国を標榜してきた日本の体面を損なうことになった事実は厳粛に受け止めなければならない。ただ、「日本に不利なルールがつくられる」といった批判は的外れだ。
 パリ協定は現行の京都議定書(97年、COP3で採択)に代わる20年以降の法的枠組み。すべての国が自主的に温室効果ガスの排出削減目標を策定し、5年ごとに見直して取り組みを徹底するスキームで、検証や報告など具体的な運用方法の検討は先送りされていた。パリ協定に付随するCOP決定で、発効後にCMA1を開いてルールブックを採択する手はずだった。
 各国の環境相や政府高官が集うCOP22を前にパリ協定が発効することになり、タイミングを合わせてCMA1開催が決まったが、COP決定に基づくルールづくりのための特別作業部会(APA)は5月に1回目の会合が開かれ、やはり各国が意見を述べ合っただけ。「現状においてCMA1で決められることはない」(環境省幹部)のが実態であり、18年まで中断という手続きが採られる見通しだ。
 日本はこれまで通り、環境技術で世界に貢献するスタンスを貫けばいい。



石炭火力の存在価値
2016/10/26(Wed) 文:(駒)

 地球温暖化対策の新国際ルール・パリ協定が11月4日に発効する。2050年に地球の平均温度を現状より2℃以下に抑える高い目標の達成に向け、30年を目指したCO2排出量削減策が始まる。化石燃料の中で利用時発生のCO2の量が最も多い石炭火力は、再生可能エネルギーの導入が活発なEU諸国ではフェーズアウトの動きが高まる。一方、アジア諸国は賦存量が300年はある石炭への依存は今後も大きく、インドは再エネと併せて石炭需要を拡充、やがて世界一の輸入国となる動きだ。発電効率が高く、CO2排出量を大きく減らす石炭ガス化複合発電(IGCC)を東京電力が福島の2ヵ所へ出力54万kWで20年完成に向け建設に入る。豪州に膨大に賦存する褐炭を原料に水素を製造・液化し日本へ供給するシステムが始まる。石炭は日本が技術リーダーとなりCO2排出量の小さい世界のエネルギー安定供給に貢献していく価値あるエネルギーとなるべきだ。
 今後、先進国はCO2を50年に80%削減しないといけない。世界のエネルギーの82%、電源では68%を化石燃料に頼っている現状を、電力エネルギーでは化石燃料と再生可能エネルギーの比率を逆転することが求められ、天然ガスと石炭火力をどう位置付けていくのかが問われる。
 石炭需要はアジアでは今後も毎年6%で伸長していくとみられる。日本は30年を見越したエネルギーロードマップで石炭を重要なベースロード電源と位置付け、電源の26%を石炭火力でカバーしようとしている。そのためにはCO2の排出量を大きく減らしていく道しかなく、それはIGCC、ガス化発電に燃料電池も一体化したIGFCの実用化といった石炭のガス化技術への移行でもある。ガス化は発電と化学原料化、水素燃料化といった燃料の転換でもある。福島に建設する三菱重工業が開発した空気吹きIGCCは世界の今後の石炭火力に大きなインパクトを与えるだろう。それでも石油火力並みに発生するCO2の完全除去にはCCS(CO2の回収・貯留)となるが、日本では実用化できる貯留層は非常に少ない。CO2タンカーで海外へ運び、貯留するなども検討対象だが、CCSは長い年月の地中貯留という見えないリスクを抱える。石炭火力新設にCCSありきではなく、ガス化システムの高効率化や水素転換と併せて、CO2による石油・ガス田の増進や化学製品への転換なども急がれる。



築地市場移転問題のあれこれ
2016/10/18(Tue) 文:(水)

 「東京大改造」をキャッチフレーズに当選した小池百合子東京都知事が快調な滑り出しを見せている。先月28 日の初めての所信表明では、まだ真相が明らかになっていない移転予定の豊洲市場の盛り土未実施や東京五輪・パラリンピックでの施設整備と膨大になった開催経費の妥当性など、従来のしがらみにはとらわれない意欲的な取り組みを鮮明にした。
 いわば都政改革という「小池劇場」の開幕ともいえるものだが、自らが都知事を長く務めた石原慎太郎氏にさえ「東京都庁はとにかく伏魔殿」と言わせた“妖怪”が徘徊する都庁という大組織に、突然落下傘部隊の如く飛び降り、知事就任後に間髪を入れず懸案課題に立ち向かっている実行力は多くの都民の期待に応えるものだろう。
 何よりも感心したのはそうした落下傘的な新参者という自覚がしっかりしていたのか、就任早々14 人のサムライよろしく「都政改革本部特別顧問」( 参与・調査員含む) を任命。環境省の地球環境審議官を務めた小島敏郎氏をはじめ、大学教授や経済界の重鎮など多彩な顔触れを揃え、”伏魔殿”への切込み体制を整えた。
 ただ、都政改革という名の「小池劇場」はまだ始まったばかりであり、都議会との長年のなれ合いの下で進められてきた「慣例」は一朝一夕に直るものではなく、都自身もたまった膿を出す覚悟が必要となる。その結果によって幕の引き方すなわち都民の評価をどこまで得られるかが決まってくる。特に気がかりなのは11 月7日に予定していた東京築地市場の豊洲移転を延期、当初計画では市場の建物地下全体を土壌汚染対策のため盛り土( 有害物質の封じ込め)をすることになっていたのが実施されず、虚偽の説明をしていた件だ。盛り土予定の地下4.5mの空間は何のために変更されたのか? 変更時期は2011 年前後とみられているが、この移転地域では東京ガスが事業主体となった「スマートエネルギーネットワーク構想」( 電力・熱導管・通信などのインフラ整備) も同じ時期に進められており、そのための地下空間利用案があったのかどうか。いずれにしても、日本一の市場といわれる築地の移転では食べ物を扱うことから安全・安心の環境づくりが最大限優先されるべきであり、このままでは風評被害が拡散して五輪で訪日する観光客おろか国内の取引業者も敬遠することになりかねない。



人工衛星「いぶき」の国際貢献に期待
2016/09/16(Fri) 文:(一)

 環境省、国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構が共同開発し、2009年に打ち上げた世界初の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」。日本における人為起源の二酸化炭素(CO2)濃度を09年6月〜14年12月の観測値から推計し、統計に基づく排出インベントリのデータとほぼ一致することが確認された。昨年末の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」の実効性を担保する有力な手法になる。国際社会に貢献する環境技術として活用されることを期待したい。
 いぶきはCO2とメタンガスについて地上にある観測点の約100倍、約2万3000地点の大気中濃度を観測する。排出インベントリと大気輸送モデルを用いて人為起源CO2排出による濃度の時空間分布を推定し、いぶきの観測結果を人為起源による影響の有無で分類。人為起源CO2の影響を受けていると判断されたデータと、その周辺で影響を受けていないと判断されたデータの差の平均値を求め、森林火災やシミュレーションで推定した植物などの影響等を除去して人為起源CO2の濃度とする。
 パリ協定では20年以降、先進国だけに温室効果ガス排出削減を義務づけた「京都議定書」に代わってすべての国が協調して地球温暖化対策に取り組む体制になる。歴史的な転換といえるが“全員参加”を最優先したため、採択された合意文書には拘束力のある数値目標はない。
 京都議定書が各国に温室効果ガスの排出削減量を割り振ったトップダウン型だったのに対し、パリ協定は各国の意思に基づいて全体をまとめるボトムアップ型。各国に温室効果ガス削減の目標策定を義務付け、5年ごとに報告と対策の見直し、取り組みの徹底を求めている。その際に今回、いぶきの観測値から推計して有効性を確認した手法により、各国から公表されるCO2排出量を高精度に監視・検証することが可能になる。
 政府は日本企業が持つ高度な省エネ技術を資金支援により相手国へ移転し、温室効果ガス削減分をクレジット化して日本が受け取る2国間の排出権取引制度「JCM」を推進しているが、依然として市場メカニズムの活用にアレルギー反応を示す途上国がある。“間接的”な国際貢献なら批判を受ける余地もない。



 「認定取消し」という太陽光発電事業の近代化
2016/09/02(Fri) 文:(水)

 来年4月から新たな固定価格買取制度(FIT法)が施行され、経済産業省から設備の認定を受けながらまだ未稼働の状況にある太陽光発電事業(PV)の「認定取消し」が続出することになる。取消し一番手の対象は、FIT制度が開始された2012〜13年度に認定を受けた未稼働のPV事業34万件だ。
 当時の認定は制度発足時だったことからともかく再生エネの導入拡大を重視、事業の質や確実性よりも量的拡大が最優先され、一定利潤が保証された買取価格の優遇ともあいまって認定市申請が殺到した。事業実施の確度が低いいわば玉石混交の事業が認定されたわけで、事業化の目的も一部のメガソーラーを除けば遊休土地の活用を目的とした投機、地域の不動産業・建設会社・電気工事会社などの共同投資による利潤追求を最大限にした事業化が大半だった。事業での買取り期間が終了すれば、あとは我関せずというもの。換言すれば、エネルギー供給の担い手や地球温暖化対策のためのCO2削減という社会的な要請とは無関係な経済行為だったともいえそうだ。
 最近、来年からの認定取消しが現実化することに歩調を合わせるように、認定未稼働事業の権利を利益の出る間に商品化、あるいは損失にならないうちに他の事業者に転売・譲渡する動きが目立っているという。そうした流れもあって、大手商社が銀行と組んでファンドをつくりそこが未稼働事業を買い取り、改めて事業化を図る動きが出てきた。しかし、これも規模の大きいメガワット級のプロジェクト買い取りが対象であり、住宅用PVなど中小規模の案件は対象にしていないようだ。そこで指摘されているのが一定額を国が出資して官民ファンドを組成、そこが認定取消し候補の案件を買い取って事業化を図るというアイデァだが、経産省の再生エネ関係者は否定的だ。
 つまり一攫千金を狙った事業者にはそこまでする必要はなく市場の淘汰に委ねるべきというのが主たる理由であり、今回の制度改正で最大眼目とした“PV事業の近代化”にも逆行するとの認識がある。新たな制度では電力会社との系統接続契約締結や運転開始後も含む設備管理の適正化、事業実施の確実性などが認定要件となり、事業としての適切性や透明性が格段に求められ、エネルギーインフラ施設として不可欠な存在を目指す。その先にはPV利用の100年構想があり、今の化石燃料に代わる「基幹エネルギー」時代の到来を見据えている。



燃料が有限の木質バイオマス発電の真の姿は…
2016/08/17(Wed) 文:(駒)

 バイオマス発電はFIT以降に完成した件数が144件の49万kWとなり、設備認定を受けた規模は木質系を中心に316万kWになっている。バイオマス発電が本格的に普及してきたとみられるが、“いや待てよ”である。
 バイオマス発電がほかの再生可能エネルギー発電と異なるのは燃料バイオマスが有限であることだ。この課題をクリアし、適正価格で安定した量を長い間確保できるのだろうか。今後完成するバイオマスの大型発電所はほとんどがアブラヤシの核殻(PKS)などの輸入バイオマスがカバーしている。設備認定量に供給できる木質バイオマスの量確保は内外を合わせても極めて困難なのである。規模を追わず、電気と熱利用と一体化したバイオマス・コージェネレーションの実現が求める姿であるのだが…。
 バイオマス発電は再生可能エネルギー発電の中で最もリスクが大きい!――こう言われるのはバイオマス資源を長い年月にわたり安定的に確保できるかどうかがカギになるからだ。
 木質系は一般木材から間伐材などの未利用材があり、国土の60%が森林面積で占める日本はそのポテンシャルは大きい。だが、15年7月時点でFIT認定を受けたバイオマス発電への原料利用量は1365万t。これは日本の木材生産規模の半分以上にあたる。このため国内からの供給は一般木質221万t、未利用材393万tにとどまり、輸入ペレットとPKSで計851万tと国産材を上回るとみられてもいる。
 間伐材などを25年に800万m3に増やすとする林野庁の目標は山の路網整備が遅れている日本ではとうてい無理だ。またPKSは東南アジアから15年に46万tを輸入するも、「日本へは2〜3年後、最大見積もって150万〜200万t」と関係者は指摘する。
 真庭バイオマス発電(岡山県真庭市=1万kW)のように未利用材の集積場を構え、地元からの燃料を安定的に確保し、高収益を上げる事業もある。16年度からは輸入材や石炭混焼発電の数万kW級が完成してくる。化石燃料と同じように日本の木質バイオマスも輸入して発電規模を稼ぐことが、二酸化炭素(CO2)の排出削減を最大の目的にした再生可能エネルギー発電の健全な普及につながるのだろうか。
 地産地消のバイオマス燃料で熱をつくり、余ったエネルギーで発電をする設備を地域のスマートネットワークでつなぐエネルギーシステムの構築こそが日本の木質バイオマス発電の姿だと思う。こうした規模を追わないバイオマス発電が主流となるべきだろう。



「座礁資産」の問題から逃げるな!
2016/07/15(Fri) 文:(水)

 7月10日に投開票された参院選挙は改憲勢力といわれる与党系が2/3程度の議席獲得で勝利したが、エネルギー供給や待ったなしとされる気候変動問題はあまり提起されることなく、わずかに原発再稼働の是非が有権者に問われた程度であった。しかし、わが国は今後10年程度にわたる経済活動と国民生活を圧迫しかねないエネルギー供給関連設備の「座礁資産」をどうするかという問題に直面している。「座礁資産」の問題はすでに欧米では顕在化、例えば温暖化対策の規制強化で一定の稼働率が確保できなくなった既設の石炭火力と新増設計画、負荷変動対応のための調整力電源となりつつある(採算性ある年間稼働率が確保できない)火力設備などを指す。いわば30〜40年かけて投資回収するはずのインフラ設備が途中で遊休化、“不良資産”となって経営を圧迫。最終的には売却・廃棄か決算での特損処理するかしかなく、最悪の場合は企業統合か倒産という事態となる。
 わが国でもこの問題は例外ではない。一番分かりやすいのはかつて54基あった原発の存廃をどうするかだ。すでに30年以上稼働してほぼ投資回収している原発はともかく、それ以外は原発再稼働が容認されなければたちまち不良資産化して電力会社の経営を圧迫する。電力全面自由化となった今日、金融機関も長く支えきれない。特にこの先大きな問題は東京電力・福島第一原発の廃炉をどう進めるかだ。まだ溶けた核燃料(デブリ)の状態も分からないため最終的な処分手法は固まっていないが、その費用はゆうに10兆円を超える規模だろうという。今の東電全体の年間売上規模約6兆円を遥かに上回り東電だけで対応できるはずもなく、結局は広く薄く国民負担でとなる。
 原発だけではない。3.11以降は節電が定着化して電力需要がここ数年落ち込んでいるが現在石炭火力を中心に2000万kW以上の火力新増設計画が進んでいる。これも将来「座礁資産」になる可能性が大きく、そのツケは電気料金の引き上げという形で国民に転嫁されよう。またこれ以上の石油火力休廃止が続くと非常時に石油供給自体ができなくなるという指摘も出されている。いったい政策当局者にはこうした問題への解決策があるのか、電力ガスシステム改革の推進一辺倒だけではすまないはずである。



「COOL CHOICE」を新しい国民運動に
2016/07/04(Mon) 文:(一)

 昨年6月に開かれた政府の地球温暖化対策推進本部(本部長;安倍晋三首相)で、2030年に向けた温室効果ガス削減目標(13年度比26%減)の取りまとめに併せ、あらゆる賢い選択≠促す新国民運動として提唱された「COOL CHOICE」(クールチョイス)。26%削減が日本の国際公約となった「パリ協定」を経て、先月20日には丸川珠代環境相がリーダーを務める普及・啓発プロジェクト「クールチョイス推進チーム」も活動を始めた。メンバーには経済界、消費者団体、自治体などの代表が名を連ねる。
 温室効果ガス26%削減を達成するためには、省エネで先行する産業部門や運輸部門に、家庭・業務部門が追いついていかねばならない。30年に向けた新たな削減目標で弾き出された家庭・業務部門の削減割合は実に約40%。規制や税制、補助金といった施策に加え、国民一人ひとりの意識とライフスタイルを変革しなければ、到底到達できないのは確かだ。
具体例として▽エコカーを買う、エコ住宅にする、エコ家電にする、という「選択」、▽高効率な照明に替える、公共交通を利用する、という「選択」、▽クールビズを実践する、という「選択」、▽低炭素なアクションを習慣的に実践するというライフスタイルの「選択」――が挙げられている。
 安倍首相がクールチョイスを提唱してから1年。この間、安保法制などを巡り政局が混乱した影響もあろうが、その認知度は残念ながら現状では決して高くない。例示されているクールビズの認知度とは雲泥の差だ。ただ、クールチョイスは、お題目だけに終わることが多かったこれまでの国民運動とは趣を異にする部分もある。
 普及・啓発に向けて始動した推進チームは、メンバー14人のうち丸川環境相を含む8人が女性。家庭を切り盛りする主婦の目線≠ナ新しい価値観づくりに臨む。さらにクールチョイスは単なるキャンペーンにとどまらず、環境省が地球温暖化対策計画に沿って目標と指標を設定し毎年、中央環境審議会で進捗状況を評価してPDCAを徹底する。
 地球温暖化対策は「総論賛成・各論反対」の要素が強いだけに、成果に結びついていることをどれだけ分かりやすくフィードバックできるのかが鍵となるだろう。



外断熱リフォームで高まる節減と健康
2016/06/20(Mon) 文:(佐)

 集合住宅など建築物に対する省エネ規制の強化によって、「外断熱リフォーム」の導入が効率的なエネルギー利用や健康面へのプラスなどから近年採用例も増えている。例えば、2009年度に国交省の補助事業として12〜13年に実施された東京多摩ニュータウン(南大沢団地)の同じ国交省の補助による東京多摩市の鶴牧団地(鉄筋コンクリート・地上2〜5階建て29棟、総戸数356戸)の外断熱改修など。これら団地の外断熱改修は、管理組合が住民に断熱性向上による光熱費節減、資産価値の向上、冬場にお風呂で起こるヒートショックを防ぐことのメリットについて、入居者全員に十分説明し納得してもらった経緯が実現の決め手になったという。もちろん補助金・税制の恩恵措置もその背中を押した。
 横浜市金沢区のソーラー、オール電化、外断熱を融合した高い水準の省エネ戸建て住宅を、何度か訪ねたことがある。この「パッシブ住宅」では、電力会社との収支のやり取りで冬場は少しの過払いだが年間では売電収入が大きく、友人は電気代アップが「ちっとも気にならない」と豪語していた。
 断熱性向上はヒートショック防止以外にも効果が見られる。近畿大学の岩前篤建築学部長が02年〜2015年までに新築の高断熱高気密住宅に引っ越した累計35,000人を対象にしたアンケート調査では、従前に比べ気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎など15症状のうち気管支喘息、アレルギー性鼻炎など9症状の改善が確かめられたと指摘している。
 こうした外断熱リフォームへの誘導措置となる国の補助金制度は総枠が決められているので、申請したもの全てには拡げられないという制約がある。しかし税額の控除措置は、基準に適合さえすれば、恩典が受けられる。南大沢、鶴牧とも、国の住宅特定改修特別税額控除と八王子市、多摩市がそれぞれ創設した家屋分の固定資産税の1/3の減額制度を活用した。住宅特定改修特別税額控除は17年末まで適用される。また八王子市の固定資産税の減額措置は賃貸住宅を除き、18年3月まで続けられる。総枠に限界がある国の税額控除に頼るだけではなく、交付金等の対象にカウントして自治体の小さな「財布」を補填する税制措置の拡充、創・省エネと健康をもたらす外断熱住宅の普及を急ぐべきと思う。



改正FIT法が目指す再生エネの“自立化”
2016/06/01(Wed) 文:(水)

 経済性を我慢してでも再生可能エネルギーの量的拡大を最優先に導入を図る現行の固定価格買取制度(FIT)を一旦白紙に戻し、基幹エネルギーとしての「自立化」を促すFIT法の大幅改正案が5月24日の参院本会議で可決され成立した。今後、自立化の条件整備など具体的な改正部分の省令等が策定され、1年以内に施行される。
 改正内容は主に3点からなる。一つは、従来の簡易な設備認定方式を改め発電事業全般の妥当性をチェックする新認定制度を採り入れ、認定取得済みながら未稼働の案件にも遡って適用する。つまり施行予定の来年4月までに、特に未稼働案件の多い50kW以上の太陽光発電は大手電力会社との接続契約締結を含め、新認定条件をクリアする必要がある。
 二つ目は、再生エネ事業を展開する際の条件がきびしくなる。新たな規制として事業認定前の審査に加え、事業実施中の設備管理(点検・保守)や事業終了後の設備撤去の遵守、立地の際の景観・安全上のトラブル防止に備えて事業者の認定情報を自治体等に公表する仕組みとする。三つ目は、事業者間の競争による買取価格低減を実現するため、入札制の導入や数年先の買取価格目標の設定だ。特に後者は、再生エネ導入割合の9割以上を占めているPV偏重を政策的に軌道修正させる意図がある。
 政策当局者には、2012年のFIT法施行以降続く津波のようなPV導入と現在滞留している未稼働案件、それに伴う電力供給力としての安定性と国民負担の増大傾向に対し、抜本的な手を今すぐ打たないと取り返しがつかない事態を招くという危機感がある。さらにその先には、G7サミットでも共有された「パリ協定」への対応など「再生エネの基幹電源化」を確立する必要性を意識する。「化石燃料の利用はせいぜい40〜50年。特にエネ自給率の低い日本は再生エネ利用をあと100年続ける必要があり、そのための条件整備が今こそ不可欠」(経産省・松山泰浩新エネルギー対策課長)という並々ならぬ決意だ。
 それでは「再生エネの自立化」とは何か。第一に基幹電源として天候に左右されることなくベースの供給手段になるような技術システムの改良、第二に現在の買取義務を前提にした総括原価の保証方式から脱却してkWh10円台の売買価格水準の実現、第三は事業プレーヤーの統合・再編であろう。新たな再生エネルギー時代への幕開けだ。



大手電力会社の生き残る道は……
2016/05/16(Mon) 文:(水)

 欧米では10年前から始まっていた電力小売全面自由化がスタートして1ヵ月半たち、わが国でも顧客獲得競争が次第に熱を帯びてきた。旧来の大手電力10社から別の小売電気事業者に供給を切り替えた顧客数は4月末現在約81万件で、全国の新自由化対象契約総数約6200万件世帯の1.3%という(電力広域的運営推進機関調べ)。
 需要家による電力会社の切替えは2020年に予定される発送電分離までに確実に増大し、これまで発電〜送配電まですべて手掛ける垂直一貫体制で会社全体の利益を確保してきた経営スタイルが通用しなくなるのは目に見えている。今のところ顧客切り替えの9割弱が首都圏と関西圏に集中しているためか、地方に本店がある大手電力会社の危機感はもう一つのようだ。2016年3月期の決算で原発再稼働がほとんどなかった中、大手10社が3.11以来すべて黒字になった財務内容の好転も危機感の希薄さに影響しているかもしれない。
 しかし、その決算の黒字化は電気料金の引き上げと原油安に伴う火力燃料費の激減がもたらした一過性の要因に過ぎず、依然として収益性のある原発再稼働を前提にした経営スタイルのままだ。自由化競争がさらに進展すれば、従来の総括原価回収方式を前提とした料金引き上げは不可能となり、原油安という神風もあてにできない。もう一つ、大手電力にとって今や最大の経営の柱となっている火力発電の調整電源化という構造的な問題がある。
 長年火力発電部門に従事し業界のまとめ役をしてきた関係者は、最近の電気事業について欧州での実態を引き合いに、▽従来型発電はもはや儲からない、▽ガス火力は競争力を失った、▽石炭火力は環境問題を解決できない、▽原子力は正当化できないし高すぎる、▽将来の電力は再生エネと分散電源――と語る。特に強調したい点は世界的に負荷変動の大きい再生エネ導入が急拡大し、火力によるバックアップの調整電源化機能が高まり、それに制度や技術が追い付いておらず、火力の非効率運転が経営悪化を招くというものだ。 ならば大手電力自らが今後も大市場となる再生エネビジネスに本格的に進出する経営モデルを築いたらどうだろうか。ちょうどFIT制度に基づく大量の未稼働認定案件がこの先1〜2年で引き受け手を探している状況もある。



FIT法改正で再考する再生エネルギーの価値
2016/04/28(Thu) 文:(水)

 再生可能エネの固定価格買取制度(FIT法)を定めた「再生可能エネルギー電気調達特別措置法」の大幅改正案が通常国会に提出され、今月下旬にも衆院で実質審議に入る見通しだ。審議日程が相当窮屈のため成立するかどうかは微妙という。仮に今国会で継続審議になったとしても、政府・与党はエネルギー政策推進の観点から法改正は不可欠としており、今年中には成立させる方針を示す。
 制度見直しのポイントは@発電事業実施可能性の確認と認定済み太陽光発電(PV)の未稼働案件取消措置の導入、A事業実施中における点検・保守や設備撤去等の順守義務、B中長期的な買取価格の目標設定と価格低減のスケジュール提示(大規模PVに対する入札制導入等)、C地熱・風力・中小水力・バイオマスの導入拡大措置――など。要は、従来の再生エネ市場拡大のためにとっていた高い買取価格の設定や事業参入の容易さなどの優遇策を大きく転換、再生エネ事業者に自立化と規律を求め、国民負担の軽減と関連ビジネスの一本立ちを促すものだ。
 とはいえ、2012年に施行されたFIT導入後の再生エネの拡大テンポとエネルギー供給面、さらにわが国のCO2削減に果たした役割は極めて大きかった。PVの累積導入量は制度施行後に約4.2倍、風力発電は1.1倍、バイオマスは1.36倍と増大。原発停止後の電力供給確保と輸入燃料代の削減などに確実に貢献した。先日示された16年度の電力需給見通しによると、PVの供給力(高需要が発生した日に確実に見込める分)は旧大手電力9社計で約737万kWあり、実に原発7〜8基分に相当する規模だ。
 それだけではない。わが国の一次エネルギー自給率は永年先進国中最低水準といわれ続け、それでも3.11前は準国産エネルギーとカウントされた多数の原発稼働があったことにより約20%台を維持していた。それが13年には6%に激減、しかもその中では再生エネ+水力が78%を占めるほどのなくてはならない存在だった。ISなどによるテロが頻発して、いつ中東情勢が激変するか従来の地政学では予測不可能な時代にあるだけに、自給率の引き上げは待ったなしの政策課題でもある。確かにわが国のPV買取価格がドイツの約2.5倍、イタリアの約1.4倍もする現状は早く是正されるべきだが、再生エネが持つ多様な価値と役割まで今回の見直しで削いでしまっては元も子もなくなる。



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